教科書授業の指導案(算数科)

算数・数学

 仮説実験授業にもいわゆる算数・数学分野の授業書は多数あります。
 しかし「授業時間数の関係」や「教科書の授業を公開する必要」に迫られて,どうしても教科書に触れながら授業をすることもあります。普段の授業では,何も気にせずに授業書をしているのですが,なかなかそうはいかない場合も多いのが現場の縛りです。
 そこで,教科書からあまり離れないで授業をすることになるのですが…。そんなとき,わたしは,数学教育研究協議会の研究成果である「水道方式」や「量の概念」などを大切にした授業を組んできました。単元そのものを入れ替えることもありました。指導案にも,自分の教材観や指導感についても触れたりしてきました。また,2010年度以降は,知識構成型ジグソー法にも取り組み,それを校内研究授業等で公開したりもしてきました。
 本ページでは,相当過去の物も含めて,実際に授業にかけた算数科の指導案を紹介したいと思います。小学校の算数は,それこそ基礎・基本です。だから,過去の指導案だからといって決して古くはないと思います。なんらかのお役に立てば幸いです。
 なお,仮説実験授業による算数の授業書については,「仮説実験授業」についてのカテゴリーをご覧下さい。

なお,指導案作成当時,よく参考にしたのは数学教育研究協議会編集『数学教室』のback numberや遠山啓責任編集『現代化算数指導法事典』,各学年の『わかるさんすう』『わかる算数の教え方』,そして,私の師匠である新居信正先生(故人)の『正常化通信』をはじめとする数々の「自家編集本』(「ガリ本」と呼ぶ)です。また,知識構成型ジグソー法や,ほかのネットの情報など,多数あります。今となっては,参照先を探すことは困難なので,ご了承ください。参考にした著書やサイト関係者の方に,感謝申し上げます。教員はオリジナルを追求するのではなく,もっと先行実践を大切にして授業づくりに取り組んで欲しいと常々思っています。

5年生

 5年生における「✕小数」の単元は,これまで「加法の積み重ね(累加)」としての乗法のイメージしか持っていない子どもたちにとっては,とてもハードルの高い学習となります。小学校2年生の時から「単位あたり量(1あたり量)✕いくつ分=全体量」と指導されてきた子どもたちは,割とすんなりと,小数の世界の乗法・除法にも入っていけるのですがね。分離量と連続量の理解など,これまでの学習がどのようなものであったのかで,大きく分かれてくるのがこの5年生です。そして,計算だけはできる子どもたちがだんだんと算数が分からないというようになってくるのも,5年生なのです。
 だからこそ,わたしがはじめて5年生と出会ったときには,これまでのかけ算・割り算の意味の再確認をしてから,教科書に入っていきます。
 本指導案は,かけ算をしたのに,かけ算の答え(積)が小さくなることもあるという不思議さに出会わせるためのものです。タイルを使って,理解を助けていきます。

 タイトルだけ見ると「こんな単元は教科書にない」ということになりますが(^_^;)
 教科書では,3年生以上の学年で小出しにされる「倍」を扱った単元。教科書制作者は「毎年〈倍〉の学習をすれば,割合の定着はなんとかなる」と思っているのでしょうか。しかし残念ながら,子どもたちは「大きい数字÷小さい数字」で立式して「答えは3倍です!」みたいなことを繰り返しているだけです。そして5年生になって小数が出てきた段階で,立式ができずに落ちこぼれていき,百分率にたどり着いたときには算数嫌いになっている…というパターンがいかに多いか。
 わたしのこの授業は,新居信正氏の授業プランを参考にして,まずは,「割合〈倍〉と日本語の関係」を見つけるところから始まります。

6年生

 「順列・組み合わせ」を扱う小学生版の単元です。こういう単元が小学生に本当に必要なのかどうかは,あまり深く考えたことはありません。中高へ進むと「全部で何種類あるのか」なんて簡単な計算でできちゃうのですから。
 でも実際にカードを使ったりすると,子どもたちはけっこう授業をたのしんでくれます。特に順列の方は,残ったカードを並べるだけなので…。しかし問題は「組み合わせ方」ですね。選択する個数が多くなると,重ねて2度数えたりして(ABCとBCAなど),混乱する子も出てきます。
 そんな単元の最後の授業で組んでみたのが,この指導案です。この授業は「5つから3つ選ぶ=5つから2つ選ばない」ということが分かればいいなと思って作りました。こういう逆転の発想こそ,数学的な考え方の一つだと思います。なお,指導案に出てくる「雑巾図」という言葉は,授業中に子どもたちが名付けたものです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました