珠洲たの通信・2005年1月号

2004年度

 なかなか冬らしい1ヶ月でしたね。子どもたちも,除雪後にできた山に登り,いつまでも家に帰らなかったりしております。特に1年生は元気で,いまのところ,インフルエンザもいないようです。
 いよいよあと1ヶ月。残された中途半端な授業時間をどう使うかが級外の悩みです…。

■1月の例会の参加者(5名)
M.S(U町O小)  T.M(N町M小)  R.I(K町K中)  H.S(S市H小)  M.O(S市H小)

今月の写真

資料の紹介

1.『春はすぐそこに…』 B5  6ぺ   M.S
 学級物語の続編です。「3学期はたったの51日間」と感じられるようになったSさん。この4月からの自分の学級をふりかえり,何がどう変わり,変わっていないのかを,冷静にまとめています。アドラー心理学の星一郎さんの講演や諸富祥彦さんの資料等も参考にしながら,考えています。
 たとえば,「不適切な行動」の目的にもいろいろあり,ある少年の不適切な行動対して取った教師の行動(対策)が,1学期当初,決していい対応ではなかったのではないかと反省しています。2学期後半には,ある程度,対処法が変化し,そのお陰で<彼がいる学級>もある程度落ち着いてきたのではないかと…。
「変わっていく子どもたち。まなざしが柔らなくなっていくのが分かる。それに対応するのに,うれしい悲鳴。」- 今は,こんな状態だといいます。なかなか変われない<彼>に対しては「ただ待つだけ」と達観しています。
 あと1ヶ月。この子どもたちとどんな別れをするのでしょうか。最後の授業や学級通信,子どもたちの1年間の感想などを聞きたいなあと思います。

2.『特効の母』 B5  2ぺ   M.S
 鹿児島研修旅行の報告です。12月末に同僚といってきたそうです。一番大きな目的は,特攻隊の基地があった「知覧」に行くこと。目的を果たしてきました。
 行きたいと思ったのは山本真理子作『ほたる』(岩崎書店)という1冊の本に出会ったから。同名の映画もありました。
 記念館の話は,その内容が重そうで…。
 このレポートに関して,次のような本も紹介してくれました。
・赤羽礼子・石井宏著『ホタル帰る』(草思社)
・毛利恒之著『ピアノは知っている・月光の夏』(自由国民社)
 また,鹿児島桜島の火山灰をひらって来てくれました。ある方の玄関先にあったとかいうものですが,ちゃんと火山灰であることをライトスコープで確かめることが出来ました。さすが,歩くときも目の付け所が違います。今度分けてくださいね。

3.「道徳指導案」 A4  1ぺ   T.M
 Mさんの学校は,今年度と来年度,文科省の道徳教育研究推進校に指定されています。それで,いろいろと道徳の研究をしています。
 今回持ってきてくれたのは「くずれ落ちたダンボール箱」という資料を使った授業の指導案です。何学年かで,同じ資料で授業をしてみるそうです。これはこれで,結構おもしろい試みではないかなと思います。
 わたしが資料を読んで先ず思ったのが,このお話の最後が,どうも嫌らしいということです。
「いいことをするとちゃんと見ていてくださる人がいて,しっかりほめてくれるよ」-というようなことは,あまりに強調すると「そんなことばかりじゃあないよ」ってなことになります。特に道徳の授業でこれをやってしまうと,高学年あたりでは当たり障りのないことしか言わなくなる恐れがあります。これじゃあ,おもしろくない。答えの分かっている道徳の授業です。自分の本音の部分が出てこないのではないかな。
 道徳の授業も楽しく,みんなで色々と考えあえる授業がいいなあ。
 ほとんどの道徳的価値は,絶対的ではないのです。殺人さえも,近代国家の名の下では正当化されるのですから…。だからといって「ふつうは人を殺してはいけない」という部分をどうとらえさせることができるか-これが,授業の醍醐味かな。

4.『黒表紙・緑表紙に書かれた「比・比例」』 A4  7ぺ   M.O
 この前のサークルのときに,Hさんから「比・比例」の話が出ていました。その時,比と比例のどちらを先に教えるのかとか,いろいろと話をしました。
 そこで,原点に戻るのが好きな私は,今回,大正・昭和前期の尋常小学校の算術教科書をひもとき,その部分(比・比例)を抜き出してみました。すると,今まで知らなかったこと(反比,複比例)も知ることが出来て,いろいろと収穫がありました。
 調べたところ,黒表紙・緑表紙,どちらの教科書も「比→比例」の順に出てきます。現在使っている東京書籍の教科書も,まず,6上「6 割合の表し方を考えよう」で「比」が出てきます。しかし,内容的には戦前とくらべとても簡略化されており,「連比」さえもでてきません。また,「比例」は6下「7 変わり方を調べよう」で出てきます。ただ,教科書には比例のグラフは出てきますが,「y=a×x」という式も出てきません。昭和初期と比べても,内容がいかに簡単になっているかがわかります。昔の子供ってどれくらい理解していたのでしょうか? だれか,そんな資料って知っていますか?

5.「かさの変化」 A4  2ぺ   M.O
 4年生理科の単元の最後に配ったまとめのプリントをもってきました。「温度によるかさの変化」を利用したものなどの例です。内容は,温度計のこと,竹定規,普通のコップに熱湯を注ぐ,電車の車輪,バイメタルなどです。
 特に,電車の車輪のことは私も始めて知ったので,びっくりしました。ネットから画像を探したら,見つけることも出来ました。右の写真(ネットでは省略)で,車輪が2重になっているのがわかりますか? 一番外枠の部分が自家用車のタイヤでいうと丁度「ゴム」の部分にあたるのです。磨り減ったら,この部分だけ交換します。そのとき,車輪の部分を熱して膨張させ,はめ込むというわけです。ほほ~。

6.昔の子供向け科学の本の実験より      紹介  M.O
 『子供ノ実験室』(昭和3年,非売品)という本を,以前にネットの古本屋から購入して持っていました。この本を年末の時間があるときに学校で読んでいたところ,突然,気になった実験をやりたくなって理科室へ。それで,ちょっとわからない部分や面白かった実験を持ってきました。
 特に,「浅い皿に水を入れ,火のついたろうそくを浮かべてガラスビンをかぶせると,しばらくしてろうそくの火は消え,ビンの中の酸素がなくなり,その分水面が上がるのだ」という実験について,「それは本当に酸素がなくなったからだ」といえるのかどうか気になります。ろうそくが燃えると酸素が使われ,二酸化炭素と水ができます。水蒸気は水に戻るので,あとは,二酸化炭素ですが,それがそのまま空気中にあるのなら,あまり水面はあがらないはず。市の理科部会でも聞いてみましたが,「二酸化炭素が水によく溶けるからではないか」という話も出ました。 しかし,本当のところはどうなのでしょうか。よくわからないままでした。

7.『今月の本棚2005年1月号』 B5  6ぺ   M.O
 今月読んだのは以下の本です。
○鈴木邦夫著『売国奴よ』(廣済堂,2001)
○東洋大学井上円了記念学術センター編『妖怪学入門』(すずさわ書店,2000)
○板倉聖宣著『アーチの科学-橋をかけるくふう』(仮説社,2004)
○板倉聖宣・塩野広次著『吹き矢の力学-ものを動かす力と時間』(仮説社,2005)
○中一夫著『<学力低下>なんかこわくない』(ほのぼの出版,2004,ガリ本)
○仮説実験授業研究会事務局編『仮説実験授業指導案』(2004,90ぺ,ガリ本)
○板倉聖宣著『ミニ授業書・えぞ地の和人とアイヌ人』(仮説社,2004,86ぺ,800円)
○佐藤学著『「学び」から逃走する子どもたち』(岩波ブックレット№524,2000)
○佐藤学著『学力を問い直す-学びのカリキュラムへ-』(岩波ブックレット№548)
○関沢正躬著『算数があぶない』(岩波ブックレット№513,2000,63ぺ,480円)
○マリリン・ポール著『だから片づかない。なのに時間がない』(ダイヤモンド社,2004)
 ガリ本ですが,中さんの『<学力低下>なんかこわくない』が大変面白かったです。超お薦めです。あと,最近,佐藤学さんに傾倒しているので,このあたりの本もお薦めしたいなあ。佐藤さんの著書は2月にも紹介します。

 このほかに「質量 キログラム kilogram kg」『理科教室・2005年1月号』,「稲むらの火」,「給食だより1月号」(紹介:O),『親子で作るストロー細工』「ストローで作ったエビ」(S)などがありました。エビの方は,時間がなくて作れませんでしたが,今度,サークルで挑戦してみたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました