小学3年生~中学1年生と《ものとその重さ》

 以下の記録は,1995年,金沢工業大学で行われた「KITサマー・サイエンス・スクール」に参加した児童生徒の感想文です。このときのスクールは,まだ始まったばかりで,講座の対象者も「小3~中1」と大変幅広いものでした。このとき,わたしは仮説実験授業《ものとその重さ》を中心とした授業を2日間(2時間✕4コマ)行ったのでした。


サマー・サイエンス・スクールで授業して…金沢工業大学にて…

珠洲たのしい授業の会 尾形正宏

はじめに

 今年(1995年)の8月5日(土)・6日(日)の両日,金沢工業大学で「サマー・サイエンス・スクール」と題して,小・中学生を対象に,「科学の楽しさを知る」取り組みが行われました。コースの内容については,いろいろと紆余曲折があったらしいのですが(担当の福岡君は大変だったらしい),結局,2日間(計8時間)にわたって,仮説実験授業の授業書を1つ体験してもらうことになりました。それで,ボクの所にも,「授業をしてくれ」という連絡が入ったというわけです。
 このサマースクールは,4つのコースで募集を行いました。
 ① 低学年向き <空気と水><ドライアイスで遊ぼう>
 ② 小3~中学生向き <もしも原子が見えたなら>
 ③ 小3~中学生向き <ものとその重さ>
 ④ 小3~中学生向き <振り子と振動>
 各コース,募集人員が親子30組です。大学側によると,最終的には,全コースで応募総数が1000組ほどあったそうです。理科ばなれとは言え,科学に対する関心の深さが伺われます。もっとも,応募した人は,講座で仮説実験授業をやるとは知らないわけなので,仮説実験授業の人気で集まったわけではありませんが…。あとで親たちの感想を見たところによると,「夏休みの科学研究に使えないか」というのが,募集の動機として多かったようです。
 ボクが受け持った講座は《ものとその重さ》。金沢の高校の先生の見砂さんも手伝ってくれたので,休み休みの授業です。また,もの作りには,1日目の最後の20分を使い「吹き玉」を作りました。講座<ものとその重さ>には,小学3年生~中学1年生までの生徒が混ざっています。
 普通,このように学年の枠を越えて授業をするというのは,相当大変なことです。しかし,仮説実験授業の授業書を使えば,ある程度の範囲なら,しっかりと楽しい授業が保証されます。そこが,また。仮説実験授業の魅力でもあるのです。
 上皿天秤ではかった郵便はがきが,何枚戻ってくるか楽しみです。1枚も来なくてもともとですから,大きな期待はしませんが…。

スクール後の感想

 2日間のサマースクールの最後に,感想を書いてもらいました。都合で1日目しか出席出来なかった方もおいでましたが,2日目まで参加してくれたみんなが,何か一言でも書いてくれました。名前(ネットでは省略)の横にある数字は,この講座が楽しかったかどうかの自己評価です。
  5.とても楽しかった        3333344444455556666
  4.楽しかった           3335611
  3.楽しくもつまらなくもなかった  6
  2.つまらなかった
  1.とてもつまらなかった
の中からひとつ選んでもらいました。
 感想は学年別・評価別に並べてあります。

[3年生の感想]
○がっこうのりかより,たのしかった。 (5)
○じっけんのときが楽しかった。ビデオもおもしろかった。いろんなことがわかった。 (5)
○むずかしかった。 (5)
○何がきっかけで始めたのかなぁーと思いました。 (5)
○夏休みの自ゆう研究のヒントになって,ともだちもできたし,ほんとにたのしかった。 (5)
○いろいろな研究をして,わかってよかった。 (4)
○夏休みのしゅくだいが,1こ終わってよかった。 (4)
○工作をもっと作りたかった。エレベーターの中が見えた。ソーラーバードがあった。 図書館にはいりたかった。 (4)

[4年生の感想]
○とても楽しかった。学校でおしえてくれないことを,せつめいしながらおしえてく れて,とてもよく分かった。科がくは,とてもふしぎで,おもしろくてすごいと思っ た。科がくをかんがえた人は,すごい人だと思った。来て,すごくまなべたと思う。 (5)
○一言くらい言えばよかったかな。学校内にエレベーターがあるのにおどろいた。学校だったらじっけんするとき,(実験用具が)1はんに1こくらいなのに,ここだったら1人に1こだったからよかった。じゅぎょうじかんが,少し長かった。学校が,ものすごく大きかった。(5)
○私の今のクラスでは,ビデオとかでやるだけで,実験も先生ばっかりしていました。だけど,このサマースクールは,実験をして,ちゃんとかくにんする。そうゆうことができて,本当に楽しかったです。来年もこられたら,また来たいです。2日間ありがとうございました。ぜひ,来年もしてください。 (5)
○土ようびは4年なみだけど,日よう日は,5,6年なみのべんきょうみたいでした。学校ではしないじっけんもできた。うれしかった。 (5)
○とてもたのしかった。 (5)
○とても勉強になった。 (5)

[5年生の感想]
○楽しかった。(5)
○学校の勉強よりも楽しかった。ここの勉強はプリントですすめていったので,あまりむずかしくなかった。あまり楽しすぎて,「あ~もうこんな時間か」と思うほど,あっというまに時間がすぎました。らい年もまたきたいなー。(5)
○第1部は,ふくしゅうみたいなものだったけど楽しかった。今日は実験も自分でしてとてもよかった。理科の勉強より少なくともよかったです。来てよかったです。
(5)
○理科の学校のじゅぎょうよりも,とてもおもしろく,理科がより好きになりました。実験というのが,どんなにおもしろくて,一番はっきりする結果がでるのかが,とてもよくわかって,「参加してとてもよかったな」と思いました。(5)
○実験が楽しかった。 (4)

[6年生の感想]
○学校では,なかなか出きない実験などがたくさんできたのでよかったです。プリントの問題が楽しくて,よかったと思います。重さのことでわからなかったこともわかったし,楽しくできたので良かったです。(5)
○今までの授業では予習などをして,教科書を見ればすぐに答えがわかるけれど,サマーサイエンススクールでは,実験をして本当の答えを見ることができてよかった。それに,実験道具は学校で3人,2人に1つだったけど,1人に1つだっったので,自分で全部できてよかった。 (5)
○学校とはちがい,いつもならうわざら天びんなどは6人に1つとかだが,ここは,1人に1つだったから,とてもわかりやすかった。 (5)
○1問ずつ1まいの紙に書いてあって,あとから勉強をふりかえれていい。実験をして答えがでたとき,「なぜ,こうなるのか,なぜか」というのをもっとくわしくおしえてほしかった。 (5)
○2日間で,今までしらなかったことがわかって,楽しかった。(4)
○物の重さで,いろいろなことがあったんだなあと思いました。(3)

[中学1年生の感想]
○ものも新しかったし,実験も楽しかった。おもちゃも作って遊んだけど,別につまらないという2日間ではなかった。(4)
○小学校の時にやならなかった実験や勉強が多かったので,僕もとても楽しかったのでよかったです。(4)

あとがき(2022年に書いています)

 KITサマー・サイエンス・スクールは,すでに20年以上も開かれています。その間,わたしも何度か授業をしてきました。しかし,このときのように小3~中1が同時に教室にいることはありません。今では,低学年・中学年・高学年・中高生という分類で募集をしているからです。
 学年を超えた(年齢を超えた)授業が成り立つということが,仮説実験授業の素敵なところです。
 わたしたちの研究会仲間は「親子孫で仮説実験」という講座も開くようになっています。

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