浜野裕之
2001.11.07
1 単元名 「自然にふれ,自然にあそび,自然にまなぼう」
2 目 標
・児童が興味,関心を持って追究活動ができる。
・自然にふれ,学ぶことで豊かな心を養う。
・教室から外へ飛び出す冒険的活動で子供らしい元気さを取り戻す。
3 指導にあたって
〈教材観〉
私たちが自然を語るときは,具体的には子供時代に虫取りをした思い出であったり,山菜採りをした思い出であったり,川で魚取りをした思い出であったりする。しかし,今のこどもたちは,虫や魚などの生き物にはあまり興味をしめさない。例えば,夏になれば,わたしたちの世代では,カブトムシやクワガタムシを学校にもっていってみせあったり,放課後はカブトムシをとりに数キロ離れた山に出掛けたりしたものである。今の子供達は,ほとんどこのような経験がないのではないかと思う。学校にカブトムシを持ってくる子もほんのわずかである。課外スポーツなどのせいもあるだろうが,高学年になればなるほど,そうしたことをする子は少なくなる。また,秋には,アケビとりなどをしたものだが,今はアケビさえもしらない子供達が多いと思う。このように生き物や秋の実にふれなくなれば必然的に自然に対する理解もうすれ,愛着もなくなる。自然の大切さを昆虫博士で名和昆虫研究所所長の名和秀雄さんは次のように語る。
『こどもにとって,自然というものは,単に知的好奇心を満足させる対象であるだけでなく,子供自身の情緒的安定に果たす役割も大きいのです。社会の風潮で動物を飼わない,飼えないということが,どれほど情緒不安定にしているかを知るべきでしょう。子どもが,保育園や幼稚園などでおもしろくないことがあったときなど,無条件にそのもやもやを発散できる場としてもっとも理想的なのが,猫やいぬなどの動物であり,野原で採ってきたバッタやセミなどの虫なのです。』
虫などの生き物は自然にふれ,自然を理解するための良い窓口であると思う。虫に触れ,その不思議さに興味を抱き,虫と触れ合う中で自然に対する理解,ひいては環境に対する理解につながり,同時に豊かな感性や安定した情緒も養われるのではないかと考える。
〈児童の実態と研究テーマについて〉
子供達は基本的には明るく素直で元気のある子供達である。しかし,現在,子供たちからは,その明るさがなくなりつつあるように思う。原因としては,次のことが考えられる。
・6年生として行事などに追われて忙しく,おもいきっり遊べない。
・教師が枠をはめすぎて,しなやかさが失われている。厳しい。
・疲れがたまっている。
・教師自身が余裕がなく,笑顔がすくない。など
この状態は私自身も良くないとは思いながら,なかなか改善できない。総合で自然と触れあうことで,子供本来の伸び伸びとした明るさが取り戻せればいいと考える。また,そうした中で明るく伸びやかな発表や文章表現が見られるようになればいいと願っている。
〈指導について〉
できるだけ,楽しく,子供達の興味がひけるか,外へ出て観察できるという伸びやかさを感じつつ,虫たちの生命力の強さ,その生態の不思議さに目を向けられるようにしたい。
4 指導計画
・自然にふれよう 3時間[本時1/3]
・自然にあそぼう 4時間
・自然にまなぼう 3時間
5 本時の学習
・ねらい 昆虫に興味を持つ。
自分でも昆虫について調べてみたいと思う。
野外に出て昆虫をさがしてみたいと思う。
・展 開
学習活動と内容
1 もんしろちょうについて知っていることを出し合う。
・これは何ですか。[モンシロチョウの絵を提示]
・モンシロチョウについて知っていることをいってください。
2 もんしろちょうについて疑問を持つ。
・林のおばあちゃんの畑にも今キャベツが生えています。キャベツにはアオムシはいるだろうか。
3 実際に畑に行って調べてみる。
4 冬に向かってアオムシはこれからどうなるのかを考える。
・このアオムシはこれからどうなるのだろうか。
5 『ファーブル昆虫記』を読むことによりモンシロチョウ生態のおもしろさや不思議さを知る。
・ここにファーブル昆虫記という本があります。この本の中にモンシロチョウのことが書かれています。皆さんが話あったことの答えが書かれているかどうか読んでみましょう。
6 本に書いてあった通りなのかアオムシを観察する
・日本のモンシロチョウもサナギで冬をこすのか実際に観察してみましょう。
7 モンシロチョウからいろいろな虫へ興味・関心を広げる。
このように,モンシロチョウも厳しい冬に備えて準備しています。他の虫たちもこれから冬に備えてきっと準備しているはずです。今度,岩坂ダムまでいって虫捜しをしたいと思います。寒いのでなかなかみつからないと思いますが。どこをさがせばどんな虫がみつかりそうか研究しておいてください。みなさんに1枚ずつ紙をあげますので,この紙に研究したことをまとめてみてください。今度,発表をきいたあと虫さがしにいきたいとおもいます。がんばってください。
教師の支援
・カラーコピーしたモンシロチョウの写真などをはりイメージをしやすくし,関心を高める。
・一度ならっているモンシロチョウについて知っていることを出すことで,後で読むファーブルの研究がより鮮やかに受け入れられるようにする。
・いるという意見といないという意見がでることで,討論になり自然と確かめてみたいという方向にこどもたちの意識が向くようにしたい。
・昆虫記を読んで自分も何か虫を観察しておもしろいことを発見したいと考えるこが出てほしい。
・継続観察できるように教室の外で飼って観察したい。
・発表までに,図鑑,昆虫記などの書物をたくさん紹介し,読ませたい。
・読んだ書物をもとに自分なりに他人に要点が伝わるよなまとめ方を工夫させたい。[色・図の使い方,文章の書方など]
・野外観察への期待を抱かせたい
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