女子も夢中になる「Tボール」

体育

 5年体育の奥スタ(註:「奥能登スタンダード」と呼ばれる教科書会社ベッタリのカリキュラムであり,教師を縛るカリキュラム)を見ると「Tボール(ベースボール型ゲーム)というのが載っていました。私が教師になった頃(自分が小学生の頃も)は,高学年になると運動場でよくソフトボールをやっていたような気がします。授業でも放課後でも…です。
 一方,私は,どの学年を持ってもいわゆるベースボール型ゲームをやってきました。そのときは,ルールも簡単にして,ボールを投げるのが苦手,打つのが苦手な子でも,楽しく参加できるように工夫してきました。
 今回紹介するTボールは,どの子も楽しくベースボール型ゲームに参加できる内容のものなので,お薦めです。

 さて,そのTボール。念のために簡単に説明すると,「投手が投げたボールを打つのではなく,置いてあるボールを打つ」のです。置いてあるといっても地面に置くわけには行きません。それじゃ,ゴルフになってしまいます。そこで,右図のような独特のボールを置く台があって,その上に柔らかなボールを置いて打つというわけです。ボールを支える部分は,ゴムなどの柔らかな,それでいて,ちゃんと元にもどる原料でできています。間違って棒の部分を叩いても,倒れないように,下の部分は重くなっています。

手作りTボール用セット

 学校にこのようなTボール用セットがいくつもあればいいのですが,うちの学校にはありませんでした(一つあったのですが,下の部分がこわれていて,すぐに倒れるんです)。そこで,手作りしようと考えていたときに『たのしい授業2017年9月号』にちょうどその記事が載っていました。『たのしい授業』では,「2Lのペットボトルと外径18mmの塩ビパイプ,そして,それを包める太さの断熱用のウレタン」で作っています。しかし,これだと,下の部分が軽すぎて,バットで打つたびに,いちいち倒れちゃうんですよね。下手をすると,この装置ごと,持って行かれそう。

 そこで,考えたのが,外の体育用具室のまわりに眠っていた旗立て用のおもりです(写真左)。昔,運動会などで使ったやつです。正に手作り感のあるもの。でも,活躍するのは年に1度しかない…。あるいは活躍もしない…(^^;; これが,外にいくつか転がっていたのを思い出して,この上のパイプの部分に断熱用のウレタン(写真中左)を無理矢理まいて布テープで補強したら,すぐに出来上がりました。断熱用のウレタンには,ちょうどボールが乗るくらいの穴が空いていますから,このままでOK。とても便利です。しかも,私の手元には,このウレタンを90㎝くらいに切ったものが20本以上あります。これは,チャンバラごっこに使うために作ったんです。
 上のような貴重な文化財(冗談)がない学校でも,写真中右のようなものならあるでしょう。この上の鉄の部分に断熱用を巻き付ければ,それですぐにできあがります。
 この方法だと,数も複数作れるのでバッティング練習も同時に何人かでできます。無駄な待ち時間が減るのがいいです。
 ちなみに市販品の値段は,約5000円~6000円くらいでした。

Tボールの進め方

 1時間の授業は,次のようにしています。

①事前の準備運動(走る,ドリブル,シュート,腕立て,腹筋,手押し車)
②準備体操(全員揃ったら,当番の号令と共に)


 ここまでは,どの授業でも同じです。体育館メニューです。これをやって貰っている間(3分~5分)に教師は今日の授業の準備ができます。

③キャッチボール(2分ごとにペアを変えて3回)
④バッティング練習(2チームに分かれて,5球ずつ)
⑤今日のゲームのルールを決める。

 野球のルールはとても複雑です。女子(や一部の男子)にとっては,そのルールをおぼえるだけでも大変です。そこで,授業で行う試合のルールは,少しずつ増やしていくことにしています。どんなゲームでもそうですが,習っている子たちはすぐに自慢したがります。そういう気持ちを,素人である友だちへの指導に向けさせるのが,体育の授業では大切になりますね。
 例えば,1時間目のルールは,打ったら走る。ベースは1塁のみ。ボールがピッチャーのところに帰るのが早いか,バッターがベースに着くのが早いかで,点数を入れる。アウトカウントはなし。打者一巡で交替としました。あと,フライを捕ったら,点数なし。野球部の子には,左で打ってもらいました。
 このあとは,子どもたちと相談しながら,「三画ベース方式」まで行く予定です。こうなると,ランナーが走っていいときと,フライが上がったりして待つときが出てきますし,塁が空いているときにも頭を使わなければなりません。なかなか難しくなりますが,さて,楽しんでくれるでしょうか。
 もちろん,十分楽しめました。
 そうそう,打ち過ぎるとアウトというルールもあったりします。ボールがStageの上に上がったり,体育館の両サイドの2Fに上がった場合は,アウトです。
 なお,ホームベースを作る場合は別の安全な場所に作ります。この用具を置いてあると危険だからです。これは市販のTボール用セットを使っても同様です。

コメント

タイトルとURLをコピーしました