牛乳パックで和風ペン立てづくり

ものづくり・図工

牛乳パックと新聞紙そして千代紙で作る「和風ペン立て」です。こう書いてしまうと,「それならやったことがある」と言う声が聞こえてきそうですが,ここに紹介するのは,誰がやってもうまくいく方法です。 しかもできた作品は,「ええ~,これって牛乳パックで作ったの?」とビックリされるような作品になります。そして,持ってみてまたまたビックリ。ずっしりと重いのです。それは新聞紙の利用の仕方に寄ります。
作り方は,黒田康夫『牛乳パックで作る和風ペン立て』(仮説社)にしっかりと説明されています。本書には,子どもたちに配る設計図兼作業書が準備されています。また,「マネすることのすすめ」というお話も付いています。最後にこれを読んであげることで,「人はマネをしながらオリジナルを追求するようになるのだ」ということが分かるでしょう。

はじめてのものづくり(私にとって)

 和風ペン立て 今年,級外になった私は,6年生1クラスの図工も担当することになりました。
 本当は,図工は担任さんが担当した方がいいんだと思うのですが,時間数の関係で担当することになったのです。
 私の図工の出会いのパターンはいつも決まっています。
 それは「キミ子方式」の紹介です。

 1時間目は,3原色の紹介(予想を取り入れて,ライトスコープで図工の教科書を見る),次の時間に「3原色で色づくり」。3時間目にキミ子方式で「もやし」を描くのです。そのあとは,イカを描いたりしたいのですが,最近は,時間もなくて,描いていません。ま,とにかく「キミ子方式」の紹介なのです。
 ところが,今回の6年生は去年受け持った子が半数います。同じ様なことはできないなあと思ったので,「ほかに楽しいものを準備したいなあ」と思いました。
 それで思いついたのが「和風ペン立て」です。
 <作り方やものづくりについての考え方が1冊の本になっている>というのは,仮説社の本ではとても珍しいことです。私はまだやったことがないのだけれども「それだけ成果が上がっていてやりがいのあるものづくりなんだろうなあ」と予想しました。
 そんなわけで,私にとっても初めての「和風ペン立て」をやってみることにしたのです。
 隣のクラスの先生にも一緒にやってもらいました。準備はすべてこちらです。歩調を合わせてもらうからにはこれは当たり前です。
 使用した本は黒田康夫著『牛乳パックで作る和風ペン立て』(仮説社,2008年発行)です。これ1冊あれば,感想文用紙まで準備できます。

子どもたちの評価と感想

楽しかったか

 終わった後,「たのしさ度」の評価を聞いてみました。

 5 とても楽しかった    (^^)(^^)(^^)(^^)(^^) (^^)(^^)
 4 楽しかった         (^^)(^^)(^^)(^^)(^^) (^^)(^^)(^^)(^^)(^^) (^^)
 3 楽しくもつまらなくもなかった (^^)(^^)(^^)
 2 つまらなかった  なし
 1 とてもつまらなかった なし

 写真のように,担任の先生は廊下にとてもステキなコーナーを作って「和風ペン立て」を展示してくれました。
 毛筆で書いた名前と,手作りのハンコが押されています。
 流石です!

感想

<予想以上にキレイにできた>
○和風ペン立てを作るとき,どんなのができるのかなあと思って予想してたけど,予想よりもっとすごいのができてびっくりした。(圭司郎,5)
○和風ペン立てを作っているとき,長そうだなあと思いました。できたら予想以上にキレイにできたなあと思いました(響,5)。
○自分で作って,とてもきれいで,これを考えて作った人は,すごいなあと思いました。ぼくもこのように自分で工夫して作ってみたいなあと思いました。(佳彦,5)
○牛乳パックに千代紙をはるときべたべたにはったのがせいかいだとあらためて分かった。うすくボンドをぬったとこが,はがれてきました。でもけっこうきれいにできたのでよかった。(恭輔,5)
○つくる前は「どんなんになるかな」と楽しみでした。でもやりはじめたらむずかしいところもあって,「本当にうまくできるかなあ~?」と不安になることもありました。けど,完成後,「本当にできた~」と思って,なんどもなんども自分の作ったのをながめました。(彩乃,4)
○作る前はしょうもない物だと思っていたけど,作ってみるときれいだったです。(周,4)
○まちがえたりしてたいへんだったけど,作って見てみると,がんばったかいがあったなあ~と思いました。(冬芝,4)
○最初どんなものができるか心配だったけど,キレイにできた(と思う)ので良かったです。ボンドと千代紙をはるところが難しかったです。(七海,4)
○まだ,ぼくの作ったペン立てには空気が入っているので,もしも今度作るときには,空気を入れないように工夫したいです。千代紙で作るとこんなにキレイになってびっくりした。(和真,4)
○ぼくは「和風ペン立てを作ります」と言われたとき,「和風ペン立て?」と思ったけど,完せいしたらきれいでした。おもりがあって,とてもおもかったです。(一馬,4)
 6年生にもなると,これまでにも何度か工作を作ってきています。で,一人一人が家から持ってきた材料で,自分で設計図を考えて何か作品を作る-という経験を積んでいることでしょう。しかし,そのたびに「オレって不器用だ」「私の工作は,これくらいしかできない」と思ってしまっている子もいるのではないでしょうか。
 だから,今回も,
「センセ~,また,なんかややこしそうなことを始めたなあ」
と思ってつきあっていた子もいたでしょう。
 だからこそ,ただの<牛乳パック>と<新聞>が変身した自分の作品を見た子どもたちは,予想以上のその出来具合に,とても満足しているんですね。彩乃の「なんどもなんども自分の作ったのをながめました」なんて,なんていい表現なんでしょう。
 それもこれも「しっかり設計図どおりマネをした」からできたことです。

<マネをするだけでキレイにできた>
○作りはじめる前は,「ああ,難しそうだなあ。へんになりそう。」とか思っていたけど,作りはじめてから「あ!楽しい!」とか思って,難しいが逆に楽しいになりました。そして完成して,マネをするだけでこれだけキレイにできるんだと思いました。本当にキレイにできてよかったです。(華林,5)
○「牛乳パックを折り曲げる。新聞を丸めておもりにする。千代紙をはる」というはっそうや,そのはっそうからこんなキレイなものが出来るということにびっくり。すごいと思いました。(玲奈,5)
○作る前は「絶対こんなにきれいにできない!」と思ったけど,マネをすることでこんなにきれいにできるんだなあと思いました。紙をおもりにするということも覚えておいて何かを作るときにこのおもりをマネしよう!!と思います。ペン立てはこんなに重いんだなあ~と思いました。絵とかはマネしない方がいいと思うけど,「○○をマネして作る」ということはすごく大事なことだと思いました。(瑞季,4)
○作っているとき,むずかしい所もあったし,これならできるという部分もありました。マネをしてはいけないけど,マネをしていいこともあると思いました。和風ペン立てを作って,できあがったときはとてもよかったと思いました。(千夏,4)

<地球にやさしい>
○紙だけで,こんなにすごい物ができるなんてすごいと思った。もう使わない新聞紙もちゃんと使って地球にやさしいペン立てなので,すごいと思った。(仁,4)
○「和風ペン立て」を作って,身近な物やふだん捨てられる物を使って作るということを思いついた人はすごいなあと思いました。(梨紗子,3)
楽しくできた
○前に一回,牛乳パックでこういう感じのペン立てを作ったことがあるけど(図工で),ソレト合わせて,ペン立てとして使いたいです。千代紙をはるときにちょっとしっぱいしたけれど,たのしくできたのでよかったです(未遥,5)。
○和風ペン立てを作って新聞をかたくまるめるのがむずかしかったです。でも楽しかったので,また作りたいです。(有紀恵,4)

<今度は達人に!>
○初めて作ったので和紙をはったとき空気が入ってぐちゃぐちゃになったけど,今度作るときがあれば,とてもキレイにたつじんが作ったような感じにしたいです。(智,4)
○今回作ったときは,テープを使いすぎたので,今度作る機会があれば,テープをあまり使わないようにして作りたいです。(優希,3)

<失敗したので>
○ちょっと失敗したことがあったので,楽しくはなかったです。(駿作,3)

さいごに

 今回は「6年生だから,設計図を見みればこれくらいできるだろう」という私の判断があって,一人一人がやっていることをしっかり見ていませんでした。だから,最後の子のように「失敗したところがある」と後悔する感想も出てきたのです。
 子ども達の作業の様子を見ていると「設計図をしっかり見ている子は,割合と少ない」ということに気づきました。なんとなく「こうではないか」と考えてやっている子が多いのです。たぶん,今までにも<設計図どおりに何かを作る>という経験が少ないのだと思います。これは,ここ数年,理科の電磁石などのセットを組み立てるときにも感じたことですが,設計図があってもそのとおり出来ない子が多いのです。
 「ものづくり」は,失敗しないことが第一です。最終的に,自分の作ったものが走らなかったり動かなかったりというのでは,途中どれだけ楽しそうに作っても,満足して授業を終えることはできません。そんな点で,今回,もう少ししっかりと子ども達の様子を見てあげればよかったと反省しています。
 それでも,みんなとてもキレイな作品が完成したのには間違いありません。
 家でどんな反応があったのか聞いてみたいなあ。

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