教科書授業の指導案集

理科・科学

 仮説実験授業はたのしいから好き。でも教科書の授業も気になる(ちょっとだけ工夫してたのしくたいな)…という方のために,教科書を使った指導案(1時間もの)を紹介します。いずれもわたしが現役時代に実際に授業をしたものです。わたしの予想を大きく裏切った授業になった(失敗だった)というものはありません。ある程度子どもたちの興味も引くことができたものを紹介します。
 指導案で取り上げている文章(言葉)を読むと授業当時の「新(常に新なのである)学習指導要領」のはやりが伝わってくる思いです。そういう歴史を見る意味でも,古い指導案を読むのも面白いかも知れません。なお,取り上げているネタは,教科書の内容が変わらない以上,現在も通用すると思います。

なお,指導案作成当時,参考にしたのは科学教育協議会編集『理科教室』のback numberや『理科教育史資料』,あるいはネットの情報など,多数あります。今となっては,参照先を探すことは困難なので,ご了承ください。参考にした著書やサイト関係者の方に,感謝申し上げます。教員はオリジナルを追求するのではなく,もっと先行実践を大切にして授業づくりに取り組んで欲しいと常々思っています。

4年生

 温度による空気のかさの変化を学習したあとで,水の場合を取り上げています。空気の時には,フラスコを手で温める実験を導入しているので,ここでも,まずは水の入ったフラスコを手で温める問題からはじめます。さて,水を温めるとかさは増えるのでしょうか。 

 4年生の電気といえば,電流の存在や電流の向き,電池の直列つなぎ・並列つなぎなどについて教えることになっています。3年生で教えた回路という概念も,おそらく定着は不十分なのでしっかり確認した方がいいでしょう。
 仮説実験授業には豆電球と導線と電池で授業ができる《電池と回路》という授業書があります。時間があれば,この授業書をやっているのですが,教科書の内容すべてを仮説実験授業にすることは時間的にも不可能ですので,この年は,教科書でやったようです。
 本時の授業は,電池の向き(電流の向き)を変えるとモーターの回転する向きはどうなるのかという部分を扱ったものです。

5年生

 発芽の3条件(空気,水,適当な温度)を学んだ後で,「水中に沈めた種にエアーポンプで空気を送るとタネは発芽するだろうか」ということを考えてもらった授業です。この単元の実験結果を見るのは時間がかかりすぎます。そこで「3分クッキング」方式で進めていきます。子どもたちが実際に準備したものは,あとで確認することにしています。

 本授業は,知識構成型ジグソー法を導入して行ったものです。このネタは「知識構成型ジグソー法」のサイト(指導案に書いてあります)に載っていたものを参考にしました。ただし,授業で使った数本の画像は,こちらでいろいろと準備をしました。それが一番大変だった気がします。この単元ついては,こちらの方で全指導記録(「流れる水のはたらき」の授業…「知識構成型ジグソー方」と「地域の教材化」の試み)をまとめてあるので,そちらも参照してくだされば幸いです。

 ふりこについては,仮説実験授業《ふりこと振動》の授業をするに限ります。実際,わたしも毎年のようにその授業をしてきました。ただ「理科専科として授業を公開してくれ」などの要請があったときには,教科書範囲内の内容で授業を作ったりもしてきました。本時の授業は,まさに,それ。教科書で学んできたこと(ふりこのきまり)が,どこまで身についているのかを確かめるたのしい授業になります。自分で言うのも何ですが,指導案の前段も読み応えがあるような気がしますが,どうでしょうか。

6年生

 この単元は,よく指導案を書いた授業(公開授業・研究授業)をしてきました。というのも,1学期に授業を公開することが多かったからです。
 よく公開されるのが,この「だ液の実験」を扱った部分でしょう。わたしも何度もやりました。本指導案もそういうものの一つです。もし,教科書とは違う工夫があるとすれば次の2点です。
・デンプン液には,はじめからヨウ素液を入れておく(青紫色にしておく)
・氷水を用意しておき,適当な温度でないと酵素(だ液)のはたらきがおきないことを演示する

 「指導にあたって」の文章は,一度,いい感じの文章を書いたら,何度も同じ文章を使っていました。それでいいんですよね。そんなに変わるわけではないから…。
 なお,本単元の授業には「分子」という言葉が普通に出てきますが,これは,毎年,必ず仮説実験授業《もしも原子が見えたなら》をやってから教科書授業に入ることにしてあるからです。そのお陰で,6年生に理科は,徹底的に原子・分子の考え方を使いながら指導ができるのです。

 先にも書いたように,現役中は,本単元の授業をよく公開してきました。
 そんな中でも,本指導案は「唾液の授業」(デンプンの消化実験)のあとで「消化と吸収のまとめ」をするための授業として設定したものです。一般的に,本指導案で扱っているような内容の(子どもたちが実験しないような)授業はあまり公開されません。そう,敢えてやってみたものです。
 授業当日に,学習展開を全く変えた(知識構成型ジグソー法を取り入れた)指導案にしたために,指導主事にはいろいろと迷惑をかけた,いわく付きの指導案(赤文字の部分を変更し,本時も大幅に変えた)です。本授業を設定したのは,教科書の進め方だと,デンプンのことしか言わないのにもかかわらず,「食べものは…」と一般化してまとめることが,どうも押しつけに感じたために導入したものです。変更前の指導案は,ここで読めます。こちらの方はジアスターゼを使った実験ありの授業ですが,実際には公開していません。

 こちらの指導案は,心臓のはたらきの部分です。心臓については,しょうゆちゅるちゅる(灯油ポンプの正式名称)を使った模型実験や学校の近くのお肉屋さんから分けてもらった豚の心臓を使った観察など,いろいろとやってきました。本授業では,子どもたちが自分で実験できるものを取り入れながら,しかもちょっと新しい話に触れられるように計画してみました。

 本指導案は全体計画はなく,本時だけの指導案です。なんでこんなのをつくったのか忘れました。一般的な指導案なので,あまり参考にならないかも。工夫した点は,
 ・白い発泡スチロール球を全員に持たせて光に当てて実験してみる。
 ・実際の太陽の光にあてて実験してみる。
 ・昼に月が出ていれば,それに合わせて②をやってみる

ことです。これらは,いずれも仮説実験授業の授業書《月と太陽と地球》に紹介されている実験方法です。というわけで,例年ならこの授業書をやっています。

 本指導案は,石川県理科教育研究大会能登大会の際に公開した時の授業のものです。ですから,その大会の指導案形式に従って作成してあります。とくに特徴的なのは,指導案中に小中高の単元のつながりを入れてあることです。
 この年の教育課程では,6年生で,「地震」と「火山」のどちらかを選んで学習することになっていました。わたしが「地震」を,もう一人の指導者が別のクラスで「火山」の授業を公開しました。
 本授業では,その年に起きた能登半島地震(2007年3月発生)の各地の震度を例に取りながら,液状化現象を体験してもらうように組み立てました。この授業(前後)の実践記録は,その後『理科教室(2008年12月号)』で紹介しました。本授業は,実践記録のうちの2時間目です。

 この単元については「○○水溶液(○○が水に溶けた液)」を意識して授業をしてきました。教科書では単元名に「水溶液」とは銘打っているものの,「溶けて初めて酸・アルカリの性質を示す…」というような内容は意識的には取り上げていません。
 わたしは「水に溶けると酸のはたらきを示す物質」先習で行ってきました。そしてその水溶液の順序も,常温で固体が溶けている水溶液(クエン酸,酒石酸など),液体が溶けている水溶液(酢酸),気体が溶けている水溶液(塩酸,二酸化炭素など)の順で授業を組み立ていました。これは科学教育協議会の実践に学んだものです。ここに紹介する指導案は,そのうち「酢酸」を扱った授業です。教科書では酢酸を扱ってはいませんが,指導計画をしっかり書いておけば大丈夫です。

 これは「指導案」ではありません。授業は卒業間近の6年生の授業の姿を中学校の先生が見に来るという行事の際に公開したもので,その授業後に,わたしがまとめた資料です。この時間は,知識構成型ジグソー法を用いて行いました。内容は,金属(アルミニウム,鉄,マグネシウム)が塩酸に溶けた溶液から固体を取り出して,それが元の金属と同じかどうかを確かめる…という内容です。

 もうすぐ学校にプログラミング学習が入ってくるという2020年2月。micro:bitという小さなマイコンを使って、センサーが反応するプログラムを組むという授業を公開しました。珠洲市でもはじめての試みだったらしく,校内だけで行う予定だったのですが,なぜか,教育委員会からも数名が参観に来られました。micro:bitの使い方は同僚の若者にお任せして,TTのような授業になりました。「めあて」は,以下のようなものです。
 ・身のまわりにある電気を効率的に使う道具を想起し,そのはたらきを再確認する。
 ・プログラミングの考え方を体験させる(フローチャート,作成,見直し)。
 ・micro:bitを使い,スイッチのオン・オフを自動(センサー)で行う回路を作る。
 ・友だちにどんなプログラムで動いているのかを説明することができる。

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