珠洲たの通信・2024年12月号

2024年度

2025年のお正月。どうにか無事に過ぎていきました。
「なにも起きないだろう」とは思いながらも,なんだか胸がざわざわしていました。そして,昨年のあのときと同じメンバー(親子孫6名)が同じ部屋に集まって,午後4時10分を迎えていました。
「今年こそ,普通の生活がおくれますように…」と,飯田町の春日神社で初詣。
別に信心深いわけではないけれども,ついつい,そんな気分になってしまいます。むか~し昔の人々が,自然の脅威に成すすべもなく,神仏にスガって祈っていたのは,仕方のないことなんだと思います。これだけ科学が発達して地震の原理がわかっていても,「もう,これ以上,いじめないで」と願ってしまいますからね。これでも,まだなにか起きたら人柱でも立てたくなるかもしれません。生贄とか…おーこわ。
とにかく,貴重な毎日をしっかり味わって過ごしたいと思っています。
今年もよろしくお願いします。

今月の参加者  W.T  N.T  N.R  S.Ma  S.Mi  K.M  O.M

今月の写真

今月の資料

1 「所感」 B5 4ぺ  S.Mi
 あのとき着ていた服を着たとき,着ている人を見たとき,解体された家屋の跡地を見たとき…もう1年が過ぎるんだと思ってしまうとSさん。その気持ちは,みんな同じでしょうね。どんなふうに,来年の正月を迎えるのか,考えただけでもそわそわしてしまいます。
新校舎への道のり
 地震以降,仮設校舎で生活している子どもたち。新しい校舎ができるのは数年後らしいです。それまでに小学校を卒業する子どもたちは,ずっと今のような学校生活を送るんですね。なんだかむなしいです。かわいそうです。
 その新しい校舎について,職員にもなんどか希望なども聞かれたそうですが,職員からの意見や要望が,業者の選定や校舎の設計に繋がっているとは,あまり思えないとか。そりゃ,そうだろうなあ。
くだらぬことは改善させず
 学力評価問題への対策をさせられる現場――残念ながらこの石川県の状況はまだまだ変わりそうにありません。そこで,その現場からの――本当はやりたくない――要請にどのようにつきあっていけばいいのか。そのときのキーワードが,「くだらぬ仕事は改善せず」(板倉聖宣談)だとSさん。堂々巡りしている「学力アップのための対策」について,「まあ,好きにやってください。わたしは,その時間,もっと大切なことに使います」という姿勢のようです。〈校内で考える「評価問題への対策」自体がムダである〉という理解が進まない限り,そんな対応が精神的にもいいですね。
 この話題は,『仮説実験授業研究会ニュース』2024年11月号からのものでしたが,なんと,わたしも今月のレポートで,この『ニュース』の記事から引用してきたんです。不思議な一致です。
 さて,最後に,奥能登地区の○○小学校の〈調査問題「小学校理科」の具体的な手立て(プリントにそう書かれている)〉をあげてみます。
・宿題や朝学習の時間などで音読させ,早読力をつける。
・授業や,宿題,朝学習,放課後学習で,繰り返し練習問題に取り組み,定着を図る

 これが,「理科」の点数学力をあげるための「手立て」なんですって。
 わたし,開いた口がふさがらない。
落ち込んだ溝は深い?
「○年生教室が危うい…。担任の支持が通らない。…中略…5月中頃たった一人の少年Cだけだったのに,気づくと,それが全体に蔓延しました。」
とSさん。こりゃやばいですね。こうなる前に,何かできなかったのか…といっても,もう遅い。で,学校ではこれからどのような対策を取ろうとしているのか…を伝えてくれました。
 この間のNHK『チコちゃんに叱られる!』で,「子どもが親に怒られることを繰り返すのはなぜか?」という問題があって,ある家庭での実験の様子が紹介されていました。「僕の方を見て欲しい」「注目して欲しい」という気持ちが一番なんですよね。こういうことを知っているだけで,こんなんになる前に〈何らかの対策〉ができたのではないかと思うのです。最近は大学で,教育心理学とか児童心理学とかは,ちゃんと習わないのかなあ。
来年度の身の振り方
 退職が近づくSさん。さて,来年度はどのような勤務対応をするのか。いろんな勤務の仕方があるようですが…。
 新しい出会いが待っていると思うと,「どっちに転んでもシメタ」なんですから,状況に任せますか(^^;)。

2.「奥能登平和運動センター・奥能登勤労者協議会結成総会(24/11/20)」  A4  4ぺ  K.M 
 上記結成総会での記念講演「これまでの運動 これからの課題」〔講師:神戸一郎(輪島・穴水地区平和運動センター・勤労協代表)での講演内容を紹介してくれました。
 今の若者世代(このサークルの20~30代の若者も)は,このタイトルにある組織が,どのような歴史を歩んできたのかなんて,まったく知らないと思います。組合に所属している人でさえそんな状態なのですから,組合とまったく付き合いのない人たちは,言わずもがなですね。
全国労働組合総連合(連合),日本労働組合総評議会(総評),全日本労働者総同盟(同盟),労働者福祉協議会(労福協),ライフサポートセンター,日本勤労者協議会連合会(勤労協),平和運動センター,日本教職員組合(日教組),全日本教職員組合協議会(全教)
などという言葉の意味とその歴史については,戦後日本の労働運動の基礎知識として,日教組組合員でなくても知っていていいことでしょう。
 本レポートの後半2ページは,上記の言葉の関連についてKさんが調べたことを簡単に解説してくれています。いつものすてきなイラストと共に…。この下に,そのイラストだけ紹介しておきますね。

3.「結果よければ…」  A4  4ぺ  K.M
 2年生図工「ふしぎなたまご」の実践報告です。
 指導者であるKさんは,いつものように,まず自分で作品をつくり,それを子どもたちに示しながら導入です。
 指導者が授業にかける前に,自分でも作ってみる・描いてみるってとても大切なことだと思うのですが,ちゃんとやっている人でどれくらいいるのかなあ。わたしは,初めてやる教材のときには,大抵やってみていました(子どもたちよりも2時間くらい先に進める感じで提示することもありました)。ちょうど,理科の「予備実験」みたいなものです。Kさんの姿勢,見習いたいものですね。たのしい授業フェスティバルなんかで,実際に自分が体験してみるという講座がたくさんありますが,おそらく,それが一番教師の勉強になるし,子どもたちへの指導にも直結しますね。
 さて,この2年生との授業に,ある日,地元民放テレビ局の取材が入ることになったそうです。ゲストは,能登愛満載の常盤貴子さん。Kさんは,事前に聞いたディレクターの言葉から,
子どもたちが描いた「未来の夢の絵」を見て「被災してもたくましく 夢えがく子どもの姿」をとらえたい意向があるのだ
と感じたそうです。そこで,Kさんは,もう一度学校に戻り,ちょっとだけ指導法を変えることにします。
・Kさんが描いた例「宇宙がうまれるたまご」を見て,子どもたちは,「ぼくはブラックホール」「わたしは飛行機」などの声が上がっていた。
・これだと,ディレクターの思い描く「未来の夢の絵」からは遠ざかるに違いない。
・そこで「『こんなんだったらイイなと思う世界』を描こうよ」という呼びかけることにする。
 学校に着いたのは18時,そこから,もう一度,子どもたちに提示する絵(アイディアスケッチ,参考図,キャラクター)を2種類描いています。
 授業してみた結果として,Kさんは,
「こんなたまごがあったら,オモシロイな」よりも「たまごから,こんなんだったらイイなと思う世界が生まれたよ」とした方がよかったと思う――と総括しています。テレビ局+常盤貴子さんに「忖度しちゃった」という思いもあるそうですが…。

4.「理科の先生になるために」  A4  1ぺ  N.T
もし原ロス
 「もし原ロス」――こんな言葉があるのか~と感心しながら資料を読みました。
 初任以来,必ず仮説実験授業・授業書《もしも原子が見えたなら》をやってきたNさん。今年初めて《もし原》ができずに,そのまま,3,4年生の教科書の理科授業に突入。それなりに教科書授業はたのしく進めているようですが,やはり物足りなさを感じるそうです。それはどんな場面でなのか。
特に4年生では,2学期に「自然の中の水の姿」「閉じ込められた空気と水」「物の体積と温度」「物の温まり方」など,見えないものをイメージしながら考える単元が多くあります。子供たちの予想を聞いても,空気をふわふわしたものや水をゆらゆらしたものの塊と捉えていて,聞いていてもどかしさを感じています。(レポより)
とNさん。そうなるのは,教科書で授業を進めている限り,仕方のないこととして受け入れるしかありませんね。こんなところで,教師から〈粒子説でも考えられるよ〉なんて言い出したら,それは〈押しつけ〉になってしまいます。わたしたちが一番嫌うことです。ここは,子どもたちに,自分の思いを言わせておくしかないわけです。だれのモデルが正しいのかなんて,実験して確かめるすべは教科書にはありませんし…。
 というか,理科の授業というのは,むしろ,こういう〈「ふわふわしたもの」「ゆらゆらしたもの」で一生懸命説明しよう〉とするところに,意味があるようです。実験の結果を見ていろいろと解釈をして,いろんな意見を出し合う…そんなことを目指しているのが学校の理科なんじゃないかなと,わたしは思っているくらいですから。
違和感
 理科の(免許を持っている)先生もたいしたことないな――と思ったという話。観察中にわたしが感じた〈違和感〉を,なぜか感じない理科教育の専門家たち――ってとこかな。
 理科部会のフィールドワークで,のと海洋ふれあいセンター(能登町)へ行き,海中のプランクトンを顕微鏡で観察していたときのことです。
 顕微鏡といえば,「試料を視界の中心に持ってきて観察したいとき,プレパラートをどう動かせばよいのか」というのが,理科の基礎学力ということで「学力調査問題」に出題されたりします。答えはもちろん,上下左右反対ですね。
 ところが,センターで観察をしていると,どうも上下はそのままで左右だけ反対になる顕微鏡があるようなのです。それに〈違和感〉を持ったNさんは,周りの理科の先生に聞いてみましたが,「そんなことないでしょ」という返事が返ってきたそうです。センターのスタッフに見てもらうと「初めて気づいた」とおっしゃったそうです。
 子どもたちには「上下左右反対に見えるから」「学力テストに出るからしっかり覚えるように」と指導していながら,自分たちで観測しているときには,だれも気づかないって…どーなん!
と,まあ,こんな話題でした。
「自分としては,当たり前と思わず,違いに気づけたことをうれしく思いました。」
とNさん。これも「仮説実験授業をすることで養われた力だ」と思ったそうです。
 わたしもこの事実が気になったので,「なぜ,左右だけ反対の顕微鏡があるのか」を調べてみました。以下に紹介します。

光学顕微鏡の種類と像(image)

光学顕微鏡は、「鏡筒上下式」「ステージ上下式」に分けることができます。
二顕微鏡は焦点を調節するために、可動する部位が異なります。

「鏡筒上下式」は、文字通りに焦点を合わせるために、鏡筒を移動させます。対物レンズと接眼レンズの間で光の経路が裏返しなるため、目に見えるすべてのもの(上下左右)が逆に見えます。
それに反して、「ステージ上下式」中間にプリズムが入っていて、画像の上下反転がもう一度行われます。したがって「ステージ上下式」顕微鏡は、左右だけ反転します。

以上の説明は、通常の顕微鏡の場合にのみ、正しい記述です。「ステージ上下式」も上下反転があることができ、「鏡筒上下式」も左右反転がある場合があります。したがって、サンプルを直接動かして見て観察することをお勧めします。

強調文字,下線等は,引用者)

サイト「JavaLab」より

鏡筒上下式
ステージ上下式

 この「JavaLab」というサイトには,理科の授業で使えるシュミレーションがたくさん掲載されています。まだしっかり遊んでみていませんが,いろいろな場面で使えそうですよ。
 以下に,サイトの解説を引用しておきます。
Java Labは科学の授業を補助するために作られた教育用科学シミュレーション(仮想実験)です。
物理, 化学, 地球, 天文, ライフサイエンス, 測定, 数学 数学など様々な自然科学現象をシミュレーションで表現しました。
Javascriptをベースにして、モバイル機器とタブレットでも利用することができます。
追加プログラムのインストールや会員登録せずに、すぐに接続して使用することができます。

5.「喃々レポ・2024年12月号」 A5 8ぺ  O.M
 今月の話題は3つ。
『広報「すず」』より
 今,ある所から,「珠洲原発反対運動の歴史についてまとめてほしい」という要望が来て下調べをしています。そのため,1990年代に書いた資料や,当時の珠洲のことを取り上げた週刊誌などと共に,市の機関誌である『広報「すず」』の縮刷版も調べています。「広報」には,当時の議会の様子が出ているので,いつごろ,どんなことが市議会で話されていたのかもおおよそ分かるからです。
 それで,1枚1枚,縮刷版をめくっていると,予期せぬ面白い記事に出会うこともあります。今回は,その中から,「メートル法実施」「鉢ヶ崎に空港を」についての記事を紹介しました。これらについては,後ほど,〈珠洲昭和今昔―広報「すず」より〉として,このHPにまとめるつもりです。まとめたら,ここからリンクを張っておきます。
今月の〈琴線〉
 以前,「わたしの琴線の在処」シリーズを書いたことがありましたが,今回,そのミニバンを書いてきました。いずれも毎月送られてくる『仮説実験授業研究会ニュース』の文章からの引用です。
 長くなりますが,〈自然法〉に触れた部分を紹介しますね。

―― 以下,レポートより ――

「自然法」の概念 板倉聖宣
この〈自然法の概念〉というのがぼくは好きなんですよ。たとえば,「教師は指導要領に従う義務がある」というのは法律で決まっているでしょ。でも,それよりも「教師は子供を賢くする権利と義務がある」というのは自然法なんです。こっちが上なんですよ。
〈法律じゃないけれども法律以上〉という考え方ね。そういう考え方がないと,戦前みたいな圧政の社会では戦えないんですよ。これは「法治国家」という概念を超える概念です。ぼくはそれが好きだったのと,ぼくが「左翼だったにもかかわらずスターリン反対だった」ということも絡んで,それを大事にしてきたのね。社会主義の中でも少数派がいて,それはやっぱり自然法を主張しなきゃやってかれないでしょ。

『仮説実験授業研究会ニュース』2024年11月号(47ぺ)

 ニュース編集者の岸さんが,この板倉先生の文章を掲載するにあたり,NHK朝ドラ『虎と翼』に出てきた「原爆裁判」の例を出しています。岸さんが紹介している山我浩著『原爆裁判―アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子』(毎日ワンズ,2024年)を,わたしもたまたま読みましたが,あの裁判は,まさに自然法を流用した判決文でした。その部分を引用しておきます。

仮にこれらの実定国際法がそのまま適用又は準用されないとしても,その精神は自然法ないし条理国際法として効力を有するものといわなければならない。

山我浩著『原爆裁判』(51ぺ)

 わたしが現職の時に参加させられた教務主任研修会の内容は,法律解釈的なものが大変多かったことを思い出します。
県教委は「教員は法を守るべきだ」みたいなところばかりが強調したかったのでしょう。そして「法を守ることが教育の出発点」みたいなことを信じさせようとしているのだと思います。
 しかし「悪法も法なり」なのでしょうか。
 少し振り返れば,今,成立している法律には,十分論議されず強行採決されたものもいっぱいあります。だから「法律だから」という理由だけで,それからはみ出ることを恐れるようではいけないと思うのです。
 わたしたちは,いつもヒューマニズムを原点として行動したいものです。

―― 以上,レポートより ――

 もう一つの話題は「我が家の〈お宝〉外国製品を探せ!」のお薦め記事。宿題でやってみたらおもしろかったですよ~という紹介でした。

6.紹介『学研の科学 ときめく実験鉱物と岩石標本』  口頭  N.R
 Nさんの娘さんRさん(小学2年)が,いくつかの鉱物の特徴について発表してくれました(今月の写真↑)。
 『学研の科学』って,わたしが子どものときにもありましたが,こんなにきれいな本じゃなかったですね。昔と同じなのは,ステキな付録が付いていること。この付録で,わたしも理科好きになったんだよなあって思い出していました。Rちゃんも,理科が大好きだからなあ。来年度からいよいよ理科を習えるね。 

今月の話題本・参考図書


『楽知んカレンダー』は,もともとは,ベンジャミン・フランクリン(1706~1790)が25年間,米国のフィラデルフィアで出版していた「貧しいリチャードの暦」(1732~57)をモデルにしています。それは,ただのカレンダーではなく,格言や読み物,月の暦や日の出・日の入りのデータなどが入っているものでした。『楽知んカレンダー』もそれをマネして,「ちょこっと総合読本」という読み物や板倉聖宣さんの発想法の「心得」,〈満月方程式〉による満月の日なども入った,ふつうのカレンダーとは少しおもむきの違ったものとなっています。(「楽知ん」サイトより)
サークルのあとは 忘年会

 今年ほど,サークルの忘年会ができることをうれしく思ったことはありません。
 例年の場所「幸ずし」さんで,ゆっくりとお食事をいただきました。今回は,Rちゃんもいっしょ。やっぱり楽しい会になりました。来年こそは,いい年になりますように…。

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