珠洲たの通信・2022年2月号

おに版画 2021年度

 みなさん,いかがお過ごしですか? 学期末を控えて,慌ただしいことと思います。少しセンチになってしまう自分がいたことも思い出します。
 さて,FBでもお伝えしたとおり「珠洲たのしい授業の会」のHPをリニューアルしています。なんで今頃? 実はこの4月からケーブルテレビのネットに加入する関係で,今までの日本海ネットのサーバーとは縁を切ります。そうすると,そこで借りていたHPの保存箱がなくなるのです。ま,詳しいことは次回のサークルでまとめてきます。それによって,わたしのメルアドも,日本海ネットではなくなります。今までの○○○○○○の使用は4月月末までで,新メルアドは××××です。新HPをご覧になられて,意見や感想がありましたら各記事の「コメント」等を使って記入してみてください。

■2月の例会の参加者(6名)
 S.M  K.M  S.M  W.T N.T O.M

資料の紹介

1 サークル資料「学力という言葉に惑わされるな」 B5  5p  S.M
 今の勤務校でついに起きたこと。それは親子二代で仮説実験授業を経験できた子に会えたこと。同僚の鰐渕さんが仮説実験授業をやってくれたおかげで,実現できたそうです。親も,おそらく楽しい授業の思い出があるので,「あ~,あの授業だわ」と気づくかも知れませんね。わたしも,直小へ来てから緑丘中在職時代の子どもたちが保護者になっていて,その子どもを数名教えました。
 仮説の研究会の若者たちがやっているZoomによる「学年会トークライブ」に参加したSさん。そこで話題になったのが,「若者に勧めたい本」。次のような本が挙がったそうです。
『たのしいテスト,評価ハンドブック』『たのしい教師生活のすすめ』『教育評価論』『教育が生まれかわるために』『たのしい授業の思想』『仮説実験授業の考え方』『新哲学入門』『発想法カルタ』『板倉聖宣の考え方』『科学と方法』
 これらのリストを見て,「なるほど,今の40歳前後の研究会員からすれば,このような本が挙がるんだなあ」と思いました。わたしは,もっと前の本が心に残っていますからね。でも,昔の本(例えば,庄司和晃著『仮説実験授業』)なんて,転がって読める本じゃないしな。でも,読んでほしいな,昔の文献も。唯一,『科学と方法』が入っているのはいい。わたしの一押しの文献。理科系を出ていないと難しいかも知れないけれども,読みやすいところだけでも目を通してほしい。
 Sさんが,ある方に推薦した図書が板倉聖宣著『子どもの学力,教師の学力』という本。これを人に薦めようと,再読していたところ,いろいろ思うことがあったようです。
 最初の文章は,先月…いやここのところずっと(笑)Nさんが悩まされている?学力問題(校長問題?)ともリンクするし,わたしが勤務する学校の実につまらない,子どもを勉強嫌いにする取り組みにもリンクするじゃんって思ったのです。(レポートより)
というわけで,Sさんは,この本の紹介用に,追加で資料を書いてきてくれました(次の2で紹介)。
 県の過去の評価問題,補充,放課後学習,底上げテスト,スキルタイム…どれをとっても,子どもたち目線ではなく,教師目線の対策の言葉ばかり。表にでる(数値化が大好きな最近の学校の)点数学力は数点あがるけど,学習に対する意欲を削いでいくモノばかり。結果として,自分から学ぶ意欲のない,ちょっとだけ平均点より上の子どもができて,高校生になったころには「学びから逃走する」(佐藤学さんの言葉)ことになるのでしょう。ああ無情!としかいいようがない。
 さて話は変わってたのしい話題。今年も「おに版画」に取り組んだそうです。子どもたちの作品を見せてくれました。どれもユニークでかっこいい。ネタは『たのしい授業』(2019年1月号)です。今回は,Sさんなりの工夫も付け加えたそうです。
 それが白い紙に色のローラーをかけるというやつ。FBで紹介したところ,多くの人から「これはいいアイディアだ」と評判がよかったです。まねから初めてオリジナル感も出てくる。これぞ研究の研究たる所以です。学校研究って,なにが研究なんだ? どっかにつながりがあるの? いつも新しことに挑戦して潰れている気がするけど。そもそも,どっかの学校研究を発展させてやろうとしているところって,ほんの僅かしかないよな。あ~,やっぱり無情だわ。
 子どもたちの何気ない姿,子どもたちとの何気ない会話に癒やされる教員。だから教師をしているんだよなあという瞬間です。授業も好きだけど,昼食後の休み時間や放課後のうだうだした時間で子どもたちといると,なんとも幸せな気分になりますよね。懐かしい~。

2 資料別紙「『子どもの学力 教師の学力』の紹介」 B5  4p    S.M
 上述したように,項を改めて「学力問題」についてまとめてきました。
 この本が主張する「学力と意欲との関係」について,わかりやすくまとめてきてくれました。
  学校教育の成果=学力+意欲  ではなく  学力✕意欲  である(本HPのタイトルに掲げた)
 わたしも初めてこれを見たときに,思わず膝をたたいて喜んだことを覚えています。だいたい,ここに集まっているメンバー自身がとても「意欲的」ですよね。時間と金を使ってまで学びたいというものがあるからこそ,少ししかない学力(失礼!)も生きてきて。いつの間にか,学力そのものも大きくなっていくのじゃないかな。
 「成績が伸びるからこそ勉強にたいして意欲が出てくる」という,むかし優等生だった先生方がいう言葉にも,ちゃんとその解説があります。ここでは述べるスペースがありませんので,『子どもの学力 教師の学力』を読むか,Sさんに直接レポートをもらってください。

3 「1・2月のこと」 B5 3ぺ   W.T
 まずは,九九の話。「九九免許試験」という仕組みを作って,試験希望者は試験(1週間に1回)を申し込むようにしたところ,自分のペースで練習し試験を受ける子どもが増えたそうです。そして,4回目には全員合格。みんな免許皆伝になったとか。
 そして初めて取り組んだ仮説実験授業,授業書《にている親子,にてない親子》の実践記録もまとめてきてくれました。鰐渕さんは,授業を始める前に次のような予想を立てたそうです。
「正解でなければ…」とこだわりをもつ子がいるが,正解不正解に関わらず,自分の意見を大切にする子が増えるのではないか(2割くらい)。
 以下,鰐渕さんの記録から,印象に残ったシーンを編集してみます。
1時間目
「そんな考え方もあるんだ!」などのように意外性を見せる子どもが多かった。
正解にこだわる子が「わたしはとても楽しかったです。わけは,まちがっていてもあっていても,虫のことをよく知れたし,みんながえがおになっていたからです。またしたいです」という感想を書いてきた。これを見ただけで大満足。
予想変更をしっかり聞かなかったので,次の時間からは,予想変更の時間をとるようにしたい。
2時間目~6時間目
予想変更タイムで「○○君の話いいな。かえるわ」という子が出てきた。その一方で「自分の考えを信じる」という子も…。
予想変更の時間をとることの大切さが分かった。
中だるみを感じてSさんに相談…実験のない授業書なので「答え」の見せ方が大切だとアドバイスを受ける。
子どもたちの感想
・答え合わせのときに「ドキドキ」するからとても楽しいです。
・もんだいは正解できなかったけどいろいろな生きものやしょくぶつのせいちょが分かってうれしかったです。
・ぜんもんせいかいだったからうれしかったです。またにている親子にてない親子をしたいです。
 このあと,自分なりの表紙をつけ授業書を綴じてあげたそうです。ここでも,鰐渕さんの子どもを見る目が素敵です。
終わってすぐに,ムカデの写真で悲鳴を上げ,目を背けていたIさんが,「虫のことを全然しらなかったし苦手だったけど,わたし全問正解でした!」とうれしそうに話し,表紙にムカデの絵を描いていました。
 たった一つの授業書をやっただけだけれども,そのときの子どもたちの変化に気づき,その子どもたちの変化を一緒に喜んでいる鰐渕さんの姿を見ていると,教師ってなんていい商売なんだろうって思います。
 そして彼は,先に予想していたことと関連して,自分自身の変化にも気づくことにもなります。
 正解は大切だけど,間違ってもいいじゃんという雰囲気や言葉が多くなってきました。また自分自身もこれまで「間違ってもいい」と言葉ではいつも言っていたけれど,実際は正解を待っていたなあと思います。(以上,引用はレポートより)
 ここに気づかせてくれた子どもたちと,この授業書に感謝ですね。そしてなによりも,この授業書をしようと決意した自分自身に感謝してください。

4 「喃々レポ 2022年2月号」 A5  4p   O.M
 NHKプレミアムシネマで見た『マイ・インターン』という映画,退職後の素敵な過ごし方・働き方を教えてくれたので,サークルでも紹介してみました。すると,何人ものメンバーが見たことがあったそうです。まだ見ていなかったメンバーもさっそくAmazon Prime Videoで視聴したと連絡がありました。
 あとはわたしの「〈脱・断捨離〉宣言」。一生懸命モノを捨てるのはやめようと思います。「宣言」のきっかけとなったのは五木寛之著『捨てない生き方』を読んだからです。ここに書かれていることにいちいち頷き,無理に断捨離を進める必要なんてこれっぽっちもないことに気づかされました。

5 「コロナ罹患者が学校で出たら」 A4 3ぺ   K.M
 オミクロン株になってからというもの,この能登でも,あちこちでクラスターが発生。学校の子どもたちにも罹患者が出てくるようになりました。そして今では,あまり珍しくなくなりました。
 さて,その罹患者が出た学校ではどんな対応をしたのでしょうか。教員は? 子どもたちは? 保護者は? 今まで体験したことのない事象の中では,それこそ責任者の危機管理能力が問われます。危機管理とは,大げさに対応することでもなく,秘密にすることでもないでしょう。どのくらいが,よい具合なのか。そこんところが大切です。今や,国民の50人に1人くらいはかかったことがあるんだから…2年前のころとは違う対応が必要ですよね。何が正解か分からないし,自分の学校だけでなんとかできる話でもないし。

6  今月の授業書体験「授業書案〈ものとその所有〉」 O.M
 以前から皆さんに紹介したいと思っていた授業書案〈ものとその所有〉を増刷りしてきました。授業書案の副題に「所有権の基礎基本と領土問題の考え方」とあります。そう,この授業書は,今日本が抱えている(あるいは世界のあちこちに存在する)領土問題についての基礎的・基本的な考え方を身につけようということが目的なのです。今回はそのうちの第1部「どの土地はだれのものか」について考えてもらいました。富士山はだれのもの?なんてね。 続きは3月のサークルで。

7 「そばうち」 A4 4ぺ  K.M
 すみません,今頃(2023/12/01),このレポートを見つけました。日付を見ると,どうもこの日の例会で報告されたもののようですので,今更ながらですが,ここに紹介します。Kさんお得意のイラストレポートです。
 青年自然の家の小林さんや鹿島少年自然の家の今井さんから教わったそば打ち講習から学んだことが書かれています。そば打ち(+料理まで)のレシピです。分量なども書かれているので,この4ページを読めば,家でもそば打ちができますよ。

8 「スキー教室」 A4 5ぺ  K.M
 上記資料同様,Kさんのイラストレポートです。スキーが滑るわけから始まって,初心者への指導の仕方や声かけの方法など,なかなか貴重な資料です。わたしは,昔からスキーが苦手で,子どもたちを連れてスキー合宿へ行くのがとても重荷でした。自分で率先してスキー場に行ったことがないので,そういう練習もしたことがないからです。だから,初任者を子どもたちを担当していても,2日たつと子どもたちの方がうまくなってしまいます。
 そんなスキーオンチの方は,まずは,これを読んで,自然の家の先生と一緒にスキーを習うといいでしょう。

9 「分子の動きが見えるとうれしい」 A4 2ぺ  K.M
 これも資料7,8と同じクリアファイルに入っていたので,この月に出されたレポートだと思われます。
 楽知ん研究所主催の「親子孫で〈たのしい仮説実験〉講座」〈温度と分子運動〉と刈谷で行われた「刈谷仮説実験授業フェスティバル」の授業書《温度と分子運動》を体験したときの感想を写真付きでまとめてきてくれました。
 この授業書については,余り詳しくないのですが,内容をお聞きすると,これまで仮説実験授業研究会(特にサイエンスシアター)が培ってきたいろいろな実験がうまくまとめられているようです。
《温度と分子運動》の授業書は,「あっちっち玉」(ハスの実です)や火打ち石,針金を使って,体験的に「温度というのは,ある物質に含まれている原子分子の運動の激しさの程度を表すものだ」と定義します。(Kさんのレポより)
だそうです。
 打ち水効果の実験や空気と壁の温度など,分かっているようで分かっていない問題が次々と出てきて,これは楽しいに違いない。
ヒートテックやフリーズドライの原理など,「水分子のふるまい」を考えると,とてもクリアに見えてきました。刺激的でした。
とKさん。やっぱり,自分が体験するのが一番ですね。
 最近,大会さえも出かけていないなあ。

 ほかには,曲がるストローでつくる簡単な浮沈子の紹介(Sさん)もありました。そして,みんなで尼崎へ…という話題も。さてコロナ禍でどうなるのやら…。

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