珠洲たの通信・2018年2月号

 今年度もまたお別れの季節がやってきましたね。うちんとこの今年の6年生は,なぜか,男女とも「ねえ,卒業式に泣く?」「泣いてよ」なんて,涙を流すことを強要してきます。これって,なんでかねえ。
 私の2月は平昌五輪で時間が過ぎていきました。前回は,まったく興味のなかったスノボー関係の競技や前々から注目していたカーリングなど,時間が経つのも忘れてブラウン管(今じゃこんな言い方しないか)の前に座って観戦していました。五輪の話題は,学校の子どもたちとすぐに共有できるのでよかったです。歳をとると,子どもたちと共有できる話題なんて,そんなにありませんからね。
 先月ひどかった活字中毒症も,ここに来てさすがに少し落ち着いてきました。年に2~3度,無性に本ばかり読みたくなることがあるのは,本当に困りものです。他の仕事が手に着かない。これは危険な病気だな。

■2月の例会の参加者(5名)
 K.H   M.S   M.O   T.N   M.K

資料の紹介

1 「板倉先生に感謝」 B5 6ぺ   M.S
 2月7日は,板倉先生の命日となってしまいました。サークルでも,まずは板倉先生に関する話。
 Sさんが初めて生(なま)板倉を見たのは,1995年の福井のプレ大会の時のようです。たぶん,私と一緒に行ったのでしょう。その初めての出会いから「いっぱいのことを学びました」「いっぱいの人に会わせてくれました」とふり返るSさんです。板倉先生が生前書かれた文章「死んでもシメタ…原子論的葬式を盛大に」という文章も紹介してくれました。Oも,同じようなことを思っていたので,その全文を印刷して持ってきました。また,同様に「板倉聖宣年図」も増す刷りしてきてくれました。
 木版画と紙版画。木版画については,まず「自分の手」を写しとって,木版画の版を作るまでの行程を体験します。次に,その行程を活用して(イヤな言葉に聞こえてしまう)自分の顔の版画に取り組んでいるそうです。本番の下絵にはデジカメで撮影した本人の写真を利用します。刷り上がりが楽しみですね。
 先月「特別支援教育の歴史とその位置」についての話題が出ました。そこでさっそく「障害児教育の歴史」を簡単にまとめてきてくれました。ありがたいことです。こんな校内研修会なんてまずないね。
 わが国でのはじまりは,1878年(明治11年)京都盲唖院設立だと言いますから,学制が布かれてからまだ6年しかたっていません。ただこのときの学校は指導者不足・財政難で安定した運営ではなかったようです。そのご国は,1923年(大正12年)に「盲学校及び聾学校令」を出して義務化します。このように,最初の「障害児教育」の出発が「盲聾唖」が対象だったために,未だに特別支援教育の学級定員が8名だなんだそうです。これは,盲学校の基準なんですって。へ~知らなかった~。現在の様に,知的障害や情緒障害の子が混ざり合い,しかも異学年であっても依然として定員8名というのは,現実に合わないのではないかと思いました。
つまり,言葉が変わっても内実は何も変わっていないし,Kさんが先月まとめてきてくれたように学校外の人たちが受けとめている差別や偏見も何も変わっていないのです。(レポより)
 他には,ホテル予約のノウハウについても教えてくれました。

2 「わかりにくいときは,図にかいて…」 A4  2ぺ  M.K
 Kさんの学校にある「通級」という仕組みが,特別支援教育に関連してどういうものとして考えられているのかについて,図に書いてまとめてきてくれました。図は,いわゆるベン図です。こうして図を見ると,その関係がよく分かります。
 話を聞いていて,通級制度というものが,まだ現場の教師でさえもよく分かっていない…ということも分かってきました。うちの学校には関係ないから…というのではなく,特別支援学級を設置する前の段階としての通級ということも考えていきたいです。
 本市では,今のところ,「普通学級(と支援員)」か「特別支援学級」かしか選択肢がないのはどうしてなのかな。

3 「しぞーか!」    A4 3ぺ     M.K
 今年の日教組の全国教研は,静岡で開催されました。支部教文部長のKさんも責任者として参加。今年の開催地は静岡県。雪深い能登から出ていって,多くのことを学んできたようです。よかったよかった。
 Kさん撮影の雪のかぶった富士山は,写真のような写真でした。
 記念講演は,堤未果氏。彼女は,川田龍平氏の連れ合いである。父はばばこういち。アメリカの野村證券に勤務していた時に,9.11を体験。それ以来ジャーナリストとして活躍しているらしい。ソビエトがなくなった後,米国はかえって混迷を深めているのではないか。弱者切り捨て,競争原理でますます格差は広がる一方。それに追随するような日本の政策の行く末が危ぶまれる。
 Kさんは,ある分会の共同研究者が「学校は地域を変えているのか」と問いかけたことが印象深かったと言います。この一言で、参加者達は「自分の実践は地域にどう働きかけたのか」と問い直していたと。
 一緒に参加した保護者と話す中で,学校の常識・非常識ということについて考えをめぐらしたようです。それもまた,大切な勉強となったと思います。

4 「仮説実験授業研究会新入会員自己紹介文」 A5 4ぺ  M.O
 板倉先生の死をきっかけに,いろいろと過去のことを思い出しています。キッカケの論理で,以前からワープロに打ち込みたかった「私の仮説実験授業研究会入会時の自己紹介文」を打ってきました。
 1983年に教員として採用された私は,1984年の10月頃に,この文章を書いたようです。初任一年目からバリバリ仮説をやりまくりました。当時の初任校は学年3クラスあったのですが,先輩達は私のワガママを許してくれました。ありがたいことです。
 私の文章には「仮説」のことだけでなく「キミ子方式」「水道方式」という言葉も出てきます。ちょっと前まで,理学部の学生で居たのに大学卒業後2年ほどで,しっかり教員としての研究をはじめていたんだなと思います。教員になった後の周りの影響も大きかったんですね。このあたりのことは,あとでまとめてみます。
 私と板倉先生との出会いは『科学と方法』(季節社)という本です。今月,3度目の通読をしました。科学史の難しい文章もありますが,やっぱりいい本です。春休みには,どの本を読もうかな。

5 「ブログ的気楽レポ2018年2月号」 A5 8ぺ     M.O
 こちらのレポートもまずは,仮説実験授業についての初心回帰の内容から。
 「仮説実験授業具体化の目標」としては,3つあるわけですが,そのうち,今回は,「目標3:誰でも実践できるプラン」という視点についての現代的意義のようなものをまとめてみました。今の教育界は,以前にも増して「自分で作り上げたような指導案」を要求しているような気がします。これでは,昔の文献から学ぶような教師はできないのではないかと私は危惧をしているのです。
 授業の話題は,毛筆。「名前の一字」「干支毛筆」です。いずれも,子どもたちの反応はずいぶん良かったです。これで,今年の「たのしい毛筆」は終わりです。もう1時間は,漢字部首カルタでもしようかな。
 東郷茂徳の伝記を読んでいる中で,鈴木東民というおもしろそうな人のことが出てきました。で,他の本を探していたときに偶然,彼のことを書いた伝記が見つかったので早速購入して読んでみました。鎌田慧著『反骨-鈴木東民の生涯』です。東民は読売新聞の記者だったのですが,後に釜石市長になったりもします。彼は戦前から一貫して反戦平和・反公害を訴える人で有り続けました。同書には宮澤賢治と同じ所でバイトしていたというエピソードもあり,なかなか楽しく読めた伝記でした。私は今,その反公害運動の流れで,日本の公害運動の原点としての「足尾鉱毒事件」についての文章を読んでいます。いずれまた,紹介する機会があるかも知れません。
 あと,再び金沢の教え子からのレポートを二つ紹介しました。「もしも原子が見えたなら」「卵は立つか」です。6年生37名との実践ですが,いずれも子どもたちと楽しく授業をしている姿が想像できました。

6 「アイくん日記」 B5 2ぺ    K.H
 「最近,思うことは授業をしてみたいという気持ちになることです」とHさん。それは「先生方の授業を見ていて、自分だったらこうするのになあ」と感じることがあるからだそうです。指導主事じゃなくても,人の授業を見ていると,確かにこういう気持ちになることはありますよね。教師ならすぐに自分の授業で実践してみるということも可能ですが,支援員という立場ではそうはいきません。だからこそのモヤモヤなんでしょうね。30年間も,ずっと教師として生きてきたんだから「そう思うな!」というのは無理なこと。もしかしたら,「こういう単元の時に,こんな風に授業を進めればいいと思う」というような指導案や考えをサークル向けに書くことで,少しは欲求不満を解消することができるのではないかと思うのですが。
 さて,アイくんの話題。相変わらず,他の子に迷惑なことをしたりして授業中過ごしているようです。以前からこのサークルでも話が出ているように「カード」作戦や「道具を貸し出す」作戦を具体的に展開してみてください。是非,みなさんの意見を取り入れてやってみて下さい。その実験結果を見て,次の対策を考えるようにするというのが大切。「予想→実験の繰り返しで認識できる」と板倉先生も言っていますからね。ただ,今年はもう時間がありませんが…。

 他にも板倉聖宣著「なぜいま〈たのしい授業〉か」(提供:O)「鈴木東民年図」(O)などもありました。
 3月は別れの季節。どんな風に別れを演出しましたか? 演出しますか? そんなことも出し合えればいいと思います。

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