珠洲たの通信・2017年6月号

2017年度

 またまた自然の猛威を感じさせる災害が起きましたね。ここ数年,何度か耳にした「線状降水帯」が,今回は,北九州で発生したようです。1時間に100ミリ以上の雨が数時間も続くなんて想像もできません。被害のメカニズムが少しずつ明らかになってきていますが,あれだけの雨に耐えきれる対策は,相当難しいでしょう。自然災害と,防災・減災について考えさせられます。

■6月の例会の参加者(5名)
 K.H   M.S   H.H   M.O   T.N  

今月の写真

資料の紹介

1.「アイくん日記・2017年6月号」 B5 2ぺ    K.H
 昨年度とは違う子の話題なのに,同じ「ミライくん日記」というタイトルは,いかがなものか…というメンバーの意見を取り入れたのか,今月から,タイトルが「アイくん日記」となりました(^o^)
 6月の中学1年生。すっかり中学生らしくなってみえるそうです。
 アイくんは,9名のクラスメイトと一緒に学習しています。ただ,どうしてもみんなと同じ数の問題数はこなせません。だから,1問だけでもいいので支援しながらじっくりと解くことで「できたという自信」を持たせるようにしているそうです。
 アイくんだけでなくても,こういう配慮は,どんなクラスでも必要だと思います。
 子どもたちの全員が全員,教師が提出したすべての問題を解ききる必要はないのではないか…。それは,逆上がりができない子に,徹底的にできるまでさせることと同様で,とても危ないことではないか。危ないというのは,教科そのものを嫌いにさせると言う意味で…あるいは,やればやるほど自信をなくしていくという意味で…です。もちろん,教師には,プロとして,どんな子どもたちでもできるようにさせる技術を得ようとすることは必要ですが,だからといって,そんな技術が存在していないのに,教師の善意だけで子どもを追い詰めることには,十分な注意が必要ですね。
 アイくんは,友だちのことを傷つける発言をすることがあるそうです。「学年が進むにつれて少しずつ他人への思いやりも出てくるのではないかと楽観しています」とHさん。
 これに対して,特別支援に詳しいメンバーからは,
「その子の状況が,どんなのかが分からないけど,一般論としていうと,そういうことは教えないとできるようにならない。あなたの今の言葉は,○○さんを傷つける言葉なのですよ-ということをしっかり教えていくことで,少しずつ身についてくることだと思います」
とのことでした。なるほど…です。
 わたしは,これもまた,アイくんに限った話ではないと思うのです。クラスにいる子どもたちは,いろんな家庭で,独自の発達をしてきて,いろんなレベルの発達状態にいます。そんなさまざまな子どもたちが,イザコザなく付き合っていくのは,実は大変なことですよね。その手助けをするのも,教師の大切な仕事。教師は「今のあなたの行為は,人間的に許せません」「その行為は,相手をバカにしています」などとしっかり教えてあげる必要があるのです。叱るのではなく,教えるのですね。何かあったら,お互いに謝って終わり…じゃないんです。

2 「運動会の絵を描いてみた」 A4 4ぺ  M.K
 「クラスの子と一緒に水彩画を描いてみた」という実践です。
 できた作品は,とてもすばらしい物でした。いくら先生の絵を真似して描いたとは言え,出来映えはそれ以上のものです。
 描き方は、次の通り。
下絵の提示(教師作)→子どもが教師の作品や写真を見ながら下絵を描く(カタツムリの線)→子どもがリレーの絵で学んだことを生かして、スタンツの下絵を描く(カタツムリの線)→教師が写真を見ながら、自分の絵に彩色していく(リレーの絵)→教師の使っていた筆,絵の具,パレットで同じ個所を子どもが彩色する(リレーの絵)〈この繰り返し〉→子どもがスタンツの絵に,自分の絵の具,筆,パレットを自分で用意して彩色する。
 この方法には,教師側の綿密な作戦があります。
 まず,何よりも,教師自らが一緒に描いていくことです。そして,彩色も教師が作った色を使い,教師が彩色した順番に沿って子どもも自分の下絵に彩色していきます。こうすることで,彩色に対する抵抗はとても減ることでしょう。しかも,色も,最初は「青単色」の濃淡だけで行います。次に「青+白の混色」へと移っていくのです。これらの手だてによって,子どもは安心して絵に取り組むことができています。最後は,今まで習ったことを使って,同じ体操服で行ったスタンツの絵を自分で仕上げていきます。
 酒井式にしてもキミ子方式にしても,「自由に描いてね」「見たとおり描いてね」などといって,子どもに任せたりはしません。教えるべきところはしっかり教える,束縛すべきところはしっかり束縛する。そうした土台があるからこそ,本物の自分らしさが出てくるのだと思います。
 スタンツの絵に対する指導者の感想…
子どものがんばりが素晴らしい。シャツの濃淡など,よく「見て」表現している。ハーフパンツの「ぬりのこし」のハイライト表現はどうだ。指導として80点というところか。

3 「ゆれる心が見え隠れ」 B5  4ぺ    M.S
 少人数のまま,ずっと中学校卒業までの9年間,固定された人間関係の中でしか過ごすことのできない子どもたち。それが,珠洲市の小学校が抱える現状です。
「固定された人間関係の中で育ちの栄養が少なく見える子どもたちを見て,毎日考える」Sさんです。
 さて,話題は「都道府県マッキーノその後」。マッキーノと普通のビンゴとの違いは,0列賞にあると言っても過言ではないのですが,その0列賞を賞とは認められないのがよっちゃん。なかなかゲームを楽しめません。どうしても早上がりして「マッキーノ」と叫びたいらしいのです。そこで担任は〈しかけ〉をして何度か「マッキーノ」と叫ばせてあげるのですが…さて,その後,よっちゃんは0列賞も認められるようになったのでしょうか…なかなか笑わせてくれるお子さんです。
 仮説実験授業《空気と水》を、3,4年生でやったのですが,そこでもよっちゃんは大活躍します。しっかり考えて予想を立てます。理由もしっかり述べます。がしかし,実験結果は,自分を支持してくれるとは限りません。そして,実験の結果,自分の予想が間違っていたと分かると,授業書をビリビリ,実験にも文句をいうのです。よっちゃんの姿を見ていると,〈自分の間違いを認められるようになる〉ということは,実はなかなか大変なことなのだなあと思います。
 クラブ活動でやってみた「切り紙ファイル」づくり。メンバーで,その切り紙づくりを体験してみました。ある程度,切り方のもようが例示されていると,一発できれいな形を作ることができるので,なかなかいいなと思います。花形になったり星形になったりする基本を知っていると,応用も利きますからね。グラディエーションの色紙はダイソーにあるそうです。

4 「ブログ的気楽レポ2017年6月号」 A5 12ぺ  M.O
 今月は,「算数の授業」「LINEの話題」「毛筆」「今月の本棚」「バラ入門」というような話題を取りあげてみました。
 算数の授業は,4年生~6年生のわり算の授業について,私が学んできたわり算についての考え方や指導法についてまとめてみました。ここにまとめたことは,ほんのさわりだけなので,これだけ読んでも,わたしがどんな風に指導しているのかは見えないかも知れません。今年も少人数指導でやっているので,私のやり方を同僚に話しながら進めています。また,指導主事訪問には,5年生のわり算の授業を取りあげたので,それについても書いてきました。今回は,奥能登スタンダードの単元自体を分割してみたのですが,これについては,全くなにも言われなかったので拍子抜けしました。
 元同僚がLINEのスタンプを作りました。スタンプになっているのはなんと,学校職員です。これは,その学校でも秘密のことなのであまり広げられないのですが…私のFBのプロフィール写真は,このスタンプのもとになった画像をアップしてあります。
 毛筆は「自分の字で書く」の第3弾。今回は「山」です。子どもたちのユニークな字は,なかなかのものです。作品が素晴らしく見えるだけではなく,なによりも,子どもたちが楽しんで毛筆をしているので,いい方法だと思っています。
 今月の本棚で紹介したのは,以下の7冊。市販本・私製本,大人向け・子ども向けなど,さまざまです。
●奥田昌子著『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』
●あらきみほ編著『名句もかなわない子ども俳句170選』
●すとうあさえ著『ざぼんじいさんのかきのき』
●あきやまただし著『へんしんマラソン』
 以下は,仮説実験授業研究会のメンバーがまとめた私製本(ガリ本)です。が,内容は,市販本より,得るものがいっぱいです。
●出口陽正著『数学教育近代化運動と仮説実験授業』
●村西正良編『サモス島から旅ははじまった』
●山路敏英編集『あなたお葬式どうする?』
 本って,新しい世界をもたらしてくれるので,楽しいですねえ。

 他にも「世界パレット」というアプリを実際にダウンロードして使ってみたりしました。このアプリをタブレットに入れることが出来れば,授業でも使えそうですが,どうなのでしょうかね。「珠洲たのFB」(メンバーのみ閲覧可能)にNさんが投稿した〈本アプリで獲得した色を使ったペイント画像〉が載っているので,見られる人はご覧下さい。
 さて,7月は1学期のまとめの話が聞けるのでしょうか。それとも,夏休みの計画の話でしょうか。お待ちしています。

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