珠洲たの通信・2004年1月号

 1月の例会は,公民館が開いていずに,宝立小学校の和室で行いました。理科室もあるので,学校でサークルをすると何かと便利です。ただ,毎回となるとやっぱり気兼ねもするしなあ。宝立公民館の図書室も,こじんまりしていていいなあと思います。ボクはあの部屋の雰囲気が好きだなあ。あの部屋のおかげで「須々神社とイルカ」の本を見つけたり,曽の坊の滝の授業用資料化のための資料を見つけたりできました。自分の学校の近くの公民館の資料を知っておくのは,地域の教材化のためには大切かもしれませんね。

■1月の例会の参加者(5名)
K.H(Y村Y中)  T.M(N町M小)  H.H(U町M小)  M.S(U町O小)  M.O(S市H小)

資料の紹介

1.「輪島測候所見学記」 B5  10ぺ   M.O 
 今年のお正月5日(月)に,「珠洲たの」のメンバー数人で「輪島測候所」の見学に行ってきました。もとはといえば,高層気象観測用のラジオゾンデを,ボクの学校の保護者の知り合いの人が拾って来たことから始まります。その拾ってきたラジオゾンデについては,12月の例会で紹介しました。それで12月のサークル(及び忘年会)で盛り上がり,それじゃあ,実際に見学に行こうと,連絡を取ったというわけです。
 レポートにも書きましたが,測候所の職員さんたちはとても丁寧に説明をしてくれて,ボクたちも気軽にいろいろ質問できて,たいへん有意義な見学となりました。「学校をはなれての研修」ということで,承認されるかどうかとやかましい教育現場ですが,どんな所にも学ぶべきものはあると思います。このレポートは,輪島測候所の方々にも見ていただくためにHPにも載せましたので,まわりの皆さんにも宣伝してね。

2.指のあいだで稲妻が光る    紹介 M.O
 今年,本校では,少年写真新聞社の「理科教育ニュース」をとっています。月に3回の発行で,階段踊り場の壁には常に3枚ずつ最新版を掲示しています(要するに,1枚のポスターそのものは1ヶ月間貼られていることになる)。子どもたちがどれだけ見ているのか知りませんが…。ボクは,それなりに興味深く見ています。
 さて,その中の一枚が,上のもの(ネットでは写真を省略)です(第579号)。とても簡単に静電気の放電が見られると書かれています。本当かなあと思いながら,サークルでやってみることにしました。
 透明な電球を持ってきて,圧電素子で火花を飛ばします。「ビリッとくるのだろうか」-なんて言いながらやってみましたが,ポスターの写真のようには稲妻が見えてくれません。「これは,電球が40Wだからかなあ」といいながら,あきらめかけました。
 しかし「暗い所でないとよく見えないんじゃない」という意見があり,それじゃあということで,教室のカーテンにくるまってやってみました。すると,ちゃんと稲妻が走るではありませんか。「おお~,ついにできた。これは簡単」と感動しました。学校では理科室を暗室にしてやってみるといいかもしれませんね。
 これを書きながら6年生の娘とやってみましたが,ちゃんと娘の指の間にも稲妻が走りました。これでどこでも成功するはずです。

3.「3年選択数学(図形と証明)感想文」 B5  2ぺ  K.H
 仮説実験授業の授業書《図形と証明》の感想文集です。教科書で「三平方の定理」を習ったあとでやった授業であり「復習という感じでもあったわけですが」,決してそうではなく,本当にわかる=納得する=ハタと膝をたたくためには,仮説実験授業のこの授業書くらいしっかりやらないとダメなのだなあと思ったと,Hさんは言います。
 先日,小松であった斉藤先生の授業を見た感想も話されました。初めての子どもたちとの授業で,決して行儀がよい子ばかりではなかったのに,太陽のように暖かい授業で,よかったなあと思ったそうです。自分ならば,気になる子どもを気にするあまり「うるさい」としかってしまうんだけど,斉藤先生は,その点,うまく子どもと対しているなあと思ったそうです。
 いい人の授業を見るのは,本を読むことと同時に大切なことだと思いますね。Hさんからお借りした犬塚先生の授業のビデオも,その授業の内容には大変味わいがありますね。

4.「くわえ算の限界?」 B5  2ぺ  M.S
 このレポートは項目だけの「講演付きレポート(本人曰く)」でした。書いてないことは,ご本人得意の「しゃべり」で語ってもらいました。
 障害児学級の実践です。
 ○○学級の2人は九九ができるようになったので,2けた×1けたに挑戦しています。それで,37×2の筆算の場合,「1を取っておいて,足して7」ということができるようになったのだけれども,なかなか定着してくれないという話でした。遠山進学塾の本を参考にしてやっているのだけれど,なかなか難しいなあということです。小さいころからの指で加えていく「くわえ算」の限界が,ここに来て見えてきたというお話をしてくれました。
 この壁を乗り越えるためには,計算機もやむをえないのではないかとかいう話も出ました。それでも,あとしばらくいろいろな方法で定着をはかってみることにしたようです。その後の話は,2月の例会にでましたね。

5.「5年星組臨時学級通信」 B4  7ぺ  H.H
 一気に書いたという感じの臨場感のある学級通信です。その名も「ばらばらな星たちへ」。何とも刺激的で挑戦的なタイトルです。子どもたちがかわいそうになるタイトルですが,その分,担任の思いがどんどん出ている文章となっています。
 ①何かをやるとき,話し合いをするとき,誰も世話役になろうとしない。
 ②命令されないと動けない。
 ③「私」と「公」をきちんとわけない。
 ④「誇り」がない
というクラスの状態に対し,担任から子どもたちに話をし,感想を書いてもらい,またそれを学級通信に載せ,そして,それについてまた感想を書いてもらい…と繰り返しながら,ぐいぐいと子どもたちを引っ張っていく様子が分かります。
 こういう指導は,できる教師とできない教師がいます。だから一概には,何がいいとか悪いとかはいえません。担任の思いを分かってほしいということはよくありますが,それでも,子どもたちに何も言わない(あるいは言えない)こともあります。しかし,担任が「今のクラスの状態では,どれだけひいき目に見ても子どもたちの嫌な面しか見えない。それを見ている教師自身の居場所がないのだ」と思ったならば,担任の思いを子どもたちに話して聞かせるのも大事なことかもしれません。しかし,それを聞いてどうするのかは,子どもたちが決めることですが…。
 実際には,①~④まではふつうにどこのクラスでもあるような事だと思います。こんなクラスに出会ったことはよくあります。
 逆に,①~④までのことがすべて問題ないというクラスは,本当に存在するのでしょうか。積極的に世話役で動き(たいていその積極的な子は固定されている),教師の意をくんで(教師の賞賛を得るために動くことが多い)行動し,自分を殺して我慢をし,そういうことに誇りを持つ子ばかりがいるクラスは,多分異常です。だから,子どもってせいぜいこんなもんよと思っている方が,教師の精神衛生上はいいはずです(あまりに程度が低いと,教育放棄のようになってしまい指導力不足教員というレッテルを貼られてしまうおそれもありますが…)。でも,それだと子どもを高いところまで引き上げることはできないんだよなあ。

6.「MY BOOK 1月号」 B5  2ぺ  K.H
 数ヶ月前から,Hさんも「本の紹介」をしてくれるようになりました。自分で読んだ本とその感想を活字にして残しておくことで,もう一度その本から得たことを確認することにもなるし,数年たってもう一度読み直したときに,今の自分と比較できていいなあと思います。みなさんも1冊でもいいから,「ほんの紹介」を書いてみませんか?
 Hさんが紹介してくれた本は,以下の4冊です。
○小泉十三著『頭がいい人の習慣術』(河出親書,720円)
○金森俊朗著『いのちの教科書』(角川書店,1200円)
○斉藤裕子著『ちっちゃい花束』(キリン館,1700円)
○齋藤孝著『段取り力』(筑摩書房,1200円)
 『段取り力』から紹介します。
・「段取り力」とは社会を生き抜く力。特別な天才や芸術家を除けば,私たちの間にはそれほど大きな才能や能力の差はない。ただ段取りのいい人と悪い人がいるだけだと,私は思う。
・段取り力はつまるところ,エネルギー配分だ。一番エネルギー値の大きいものを最重要なところにぶち込む。

 そのほかにも,仕事を素早くこなし,有意義な時間の使い方を教えてくれるような本です。ボクも読んでみようと思います。

7.「今月の本棚・2004年1月号」 B5  5ぺ  M.O
 1月に紹介したのは,以下の8冊です。正月があってもなかなかじっくり本を読めませんな。今月のイチオシは『目からウロコの民俗学』かな。こういう雑学本は,頭に残らないのだけれども,入門書としてはとっても丁寧な作りとなっています。興味がわいたら,ここに紹介されている本にあたればいいのですから。養老さんと宮崎さんの『眼』も今もっともホットな人同士の対談なので興味深く読めましたよ。
○小関智弘著『働くことは生きること』(講談社現代新書,2002,232ぺ,700円)
○新谷尚紀監修『日本人の禁忌(タブー)』(青春出版社,2003,185ぺ,700円)
○小松和彦著『異界と日本人-絵物語の想像力』(角川選書,2003,196ぺ,1500円)
○橋本裕之編著『目からウロコの民俗学』(PHP,2002,330ぺ,1500円)
○白鳥敬著『おもしろくてためになる 単位と記号雑学事典』(日本実業出版社,2001,206ぺ,1300円)
○桂米朝・筒井康隆共著『対談 笑いの世界』(朝日出版社,2003,233ぺ,1200円)
○藤井聡著『犬がどんどん飼い主を好きになる本』(青春出版社,2004,204ぺ,1200円)
○養老孟司・宮崎駿共著『対談 虫眼とアニ眼』(徳間書店,2002,189ぺ,1400円)

8.「第2学年国語科学習指導案」 B4  2ぺ  T.M
 絵を見て,それを文章に表すという授業があるそうです。子どもたちも絵を見た方が書きやすいようでした。
 推敲するときも,お互いの物語を読みながら,みんなで意見を言いあっていたそうです。低学年なのにたいしたものです。絵を並べる方法もいろいろ工夫することができるので,男の子たちはわざとそんな風にやっていたようです。最後は,スキャナーで絵を取り込んで,一人一人絵本を作りました。
 絵本作りというといろいろな要素が入ってきて総合的なものとなり,学習内容が発散してしまう面がありますが,Mさんは,「ねらいを絞ったため,子どもたちが取り組みやす」かったと回顧しています。そのねらいとは「作ったお話を読み返し,表記の違いや筋の通らないこところを見つけ,書き直すことができる」です。
 それにしても,子どもたちの日記や行事作文の「そして」でつながる文を直すにはどうすればいいのでしょうか?

 そんなわけで,今回は1月の様子を紹介しました。他には,A学校の指導案(紹介:S)があり,その指導案を見ると,指導案からはずれるような指導をしていないではないのか。子どものはみ出しを認めないような指導案なのは変ではないかという意見も出ました。「自分の指導からはずれることに恐怖感があるんじゃない」のか。指導案からはずれていくことがおもしろくなければ,フツーの授業はやってられませんからね。「それは教師の未熟さだ」というのであれば,いつまでも未熟な方が子どもたちとつきあう楽しみがあります。まあ,仮説実験授業のように,ある面では,完全に不自由なプランに乗っ取ってやっているからこそ,子どもたちが少々授業から離れても安心して付き合っていられるというのもありますから。

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