2026.04.16
尾形正宏
大正時代に訳出された小泉八雲著『知られざる日本の面影』を読んでいると,ルビも振られていない読めない漢字が多々出てきて困る。わたしは本書を再版された電子本で読んでいるので――Kindlewhiteにはその熟語をすぐに検索し調べる機能があるので――大変便利である。しかし,内蔵されている辞書に引っかかってこない言葉もあり,本書を読み進めていて往生したことが何度もある。
というわけで,今回は,みなさんの漢字の知識に挑戦してみたい。
どれくらい読めるのでしょうか? いずれも,わたしが読めなかったか,読めても意味が分からなかった熟語です。
難読漢字問題
①すべて古びて,色褪せ,磨損して,櫛風沐雨に見分け難くなったのもある。(第四章 江ノ島巡礼)
②これは神聖な石で,大きな蝦蟇の形だと信ぜられている。だから蝦蟇石という。(同)
③三森や海の心地よい鋭い香,悠々自由に吹く風の,血色を晴れやかにし,元気を快活にするような肌触り,古びた神秘的な苔蒸せる石像の黙々たる哀訴,千歳聖土と称せらるる地を踏むと思えば,油然として湧き起こる一種敬虔の念,世々の巡礼の足に踏まれて,形のないまでに磨滅せる岩の階段を見ては,人間的義務として禁じ難き,信仰に対する同情の感など,一々数え切れない。(同,95ぺ)
④天鵝絨のごとく滑らかで,足音の立たぬ,褐色の砂地を越えて,可愛らしい島へ近づいて行く辺の風吹き渡る入口。(同)
⑤障子を開放した処から,六月の太陽は光を注ぎ込んで,神像,提灯,絵画,金文字,瓔珞など,優美な形の真鍮製のものや,種々の色彩の品々が,芸術的に入り乱れているのを輝かせた。(同,97ぺ)
⑥そして,彼らは穿鑿に先んじて増加するから,形が変わってくる。(同,101ぺ)
⑦その中へ,宛然無底の海中へのごとく,インド,支那,及び遠東から,神話が続々と落ち込んで吸収されてしまった。(同上)
⑧どこの家にも,麦稈を細かく編んで作った小舟に,精進した食物,小さな灯籠,信仰と愛の文句を書いたものなどが積んである。(第五章 盆市にて,108ぺ)
⑨長汀曲浦を下って,まぼろしの小艦隊は,ちらちら光って海へ行く。そして,海は満目,死人の光で,水平線の際涯まで閃き渡り,海風は香煙で芳ばしい。(同上)
⑩よほど奇異な,非常に破損した厨子で,片方の戸は蝶番が失せ,漆には罅が入り,金色は褪せていても,雅致あるものであった。(同上,109ぺ)
⑪私どもが話をしていると,主婦は仏壇に近寄り,戸を開き,中のものを整頓し,灯明を点じてから,合掌稽首して祈念を始めた。(同上,111ぺ)
⑫商人の群集と喧囂と無数の灯火の上に高く立ち,輝ける町の終端にある真言宗の大寺院が,その丘の上から星空の中へ夢のごとく凄く聳えている。(同上,115ぺ)
⑬萼は瑕瑾なき自然の疑似で,下方に綺麗な紙片の総が垂れている。(同上,116ぺ)
⑭それは百八煩悩と譬喩的の関係がある。(同上)
⑮仏教は浩瀚なる教理学,深遠なる哲学,渺茫として海のごとき文学を有する。(第八章 杵築――日本最古の社殿,200ぺ)
⑯だから雄鶏や雌鶏も嫌いで,就中雄鶏は大嫌いだ。(第十章 美保関にて,220ぺ)
⑰雄鶏が美保の関の大明神にかくも嫉視され,土地から放逐されている訳には諸説あるが,その要領はこうである。(同上,221ぺ)
⑱左方の峨々たる海岸には,折々谷間の小村落が隠見する。同上,222ぺ)
答えは次頁で




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